レイノズル数については「入口と出口、入口と底」「単位がない方が便利な場合もある」でも取り上げました。今回、いろいろな物体の動きをレイノズル数で比較してみました。またレイノズル数は無次元なので、相似則が成り立ちます。実際の2分の1模型でも流速を2倍にすれば同じ効果を評価可能です。
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p.1 レイノズル数は左上の式で表されます。慣性力を粘性力で割った値です。粘度で表す場合と動粘度で表す式があります。右は、有名なムーディ線図です。横軸がレイノズル数、左の縦軸が摩擦係数、右の縦軸はパイプ内の表面粗さです。レイノズル数2,300以下が層流領域、2,300<Re<4,000が遷移領域、4,000以上が乱流領域です。滑らかなパイプが太い一番下の実線で、粗くなるほど上の実線で示しています。パイプの場合の代表長Lは直径dとします。人の歩行がレイノズル数105、車の走行が106そして航空機の飛行が107程度になります。
p.2 左下の写真は、左が水道の蛇口を開けた際の水の流れで、左が層流、右が乱流の状態です。右側の写真は、タバコや蚊取り線香の煙を示しています。周囲が静かな場合、最初は一本の煙が上昇していきますが、その後乱れて乱流になっていきます。右下は、人工物〜生物〜細胞の流れのレイノズル数を示しています。サイズがミリオーダーになると層流領域になってきます。慣性力よりも粘性力の影響が大きくなってくるためです。ミクロンサイズの領域では、3次元よりも2次元の影響が効いてきますので、マイクロマシンを設計する場合は、粘性力に打ち勝って動かす駆動力が必要になります。