検定の多重比較には種々の方法がありますが、統計ソフトを用いる際にどれを採用するか悩むと思います。以前「統計学も進化?」で検定の多重比較を取り上げました。今回、補足説明の資料を作成しました。
資料はこちら → 多重比較
p.1 表のような4つの検定を実施する場合を考えます。帰無仮説が真実とする場合、「対立仮説は正しい」と結論づける確率は最大で(α×100)%存在し、帰無仮説が真実とする場合は、「帰無仮説は誤っているとはいえない」と結論づける確率が{(1-α)×100}%存在します。4つの帰無仮説が全て真実の場合、(対立仮説のうち少なくとも1つは正しいと結論づける確率)+ (どの帰無仮説も誤っているとはいえないと結論づける確率)=1が成り立ちます。この式を変形し、(対立仮説のうち少なくとも1つは正しいと結論づける確率)=1 −(どの帰無仮説も誤っているとはいえないと結論づける確率)となり、これが(α×100)%となるようにαjを調整する方法を「ボンフェローニの方法」と呼びます。区別するために(1-α)とαのように色付けしておきます。αjはいずれも0.05にすることが多いので、α=(0.05/4)✕4=0.05のように計算されます。
p.2 多重検定法を表にまとめておきます。帰無仮説において、検定の数でみるBonferroni法、総当たりでみるTukey法、基準の母集団との比較でみるDunnett法、そして母集団の平均に増加性か減少性があるかを確認するWilliams法があります。
p.3 上述の「統計学も進化?」の資料の一部を再掲しています。実際の検定の式等を載せておきます。前回の資料には、統計ソフトMinitabの実施例も資料に載せてあります。今回のp.2をご覧になりながら、Minitabの結果をもう一度眺めてみてください。どの多重比較法を用いるか、事前に検討してみてください。