品質工学における機能窓の使い方については、「窓は広い方がよい」「窓の枠が大事」「評価のコツ」において、できるだけ式を使わないで説明してきました。本日は、数式で説明します。といってもそれほど難しい式は登場しませんので、安心ください。
資料はこちら → 機能窓(原理)
化学反応の場合、原料AとBから生成物Cと副反応物Dのような反応式が書けます。横軸が時間t、縦軸を反応収率としてこの反応を描くと左上図のようになります。トータルを1とし、副反応物がq、未反応物がpの割合存在すると生成物は1ーp-qですね。この生成物の割合(機能窓)を増やしたいわけです。生成物の上限値が1-q、下限値がpです。上下限共に、時間tに対して指数関数的に減少するとして式を立てます。両辺、自然対数をとると一次線形式に変換できます。左上のグラフは左下のグラフのように0点を通る2つの直線に変換できました。上の直線が未反応、下が副反応の速度式を示しています。上の直線の傾きが大きく、下の直線の傾きを小さくすると機能窓が拡がります。SN比は加法性が成り立つので、望大特性のSN比η1と望小特性のSN比η2を足したSN比ηが大きくなるパラメータの組合せが機能窓を広くする条件となります。 今回数式を用いましたが、機能窓はいろいろなテーマで有効な手法ですので、是非、利用してみてください。