「そもそも品質工学第80話〜87話」について要点をまとめておきます。今回と次回の2回に分けます。
資料はこちら → そもそも品質工学(MTシステム)その1
p.1 「第80話 感覚量の定量化」から、装置を開けるためのレバーの扱い方がわからないという苦情に対して対策を講ずる場合に、アンケート調査して「数量化」する手法があります。以前、「アンケート結果の解析」で「数量化」の一つの手法「コレスポンデンス分析」を紹介しました。顧客の要望を数値化することは難しいですね。そこで、何種類かの形状のレバーを作成して開けてもらう「官能試験」する方法があります。この場合、一旦開けかたがわかってしまうと、2度目の試験はできませんので、一種の「破壊試験」になります。人間が計測器となる評価は極めて難しいですね。品質工学は、「評価技術」なので、測れなければ、測る方法を立案する必要があります。 「第81話 MTシステムでの評価設計」から、種々の形状レバーを直交表に割り付けて作成し、評価してもらいます。18枚のレバーの絵を見せて、開け方を予測してもらいます。そして、同じ操作で開けられるレバーを予測したものを「MTシステム」の単位空間とします。評価者の特徴も評価項目の中に加えておきます。「第82話 MTシステムって何?」から、「MTシステムは計測器、相関行列である」とも言っています。単位空間のデータ数は、因子数の倍程度必要です。なお、「MTシステム」については、知りたい方は過去ブログ「正常、異常をどう数値で判断するか?」「MTシステムの活用例」をご覧ください。
p.2 「第83話 MTシステムと直交表」から、品質工学でアイデアを出すのではなく、考えたアイデアの良し悪しを評価するのです。左下の表にあるような制御因子A〜Hを直交表に割り付けて、18個のレバーを作製します。制御因子を設定する際は、ユーザーの視点を考慮します。直交表の左右に、18個のパターンを示しておきます。
p.3 18個のレバーの条件、「被験者のデータ(利き腕、類似品の使用経験、男女の違い、押す・引く文化)」及び判定結果のデータベース表を作成し、マハラノビス距離を算出します。判定は「1.イメージ通り 2.おしい 3.全く違う操作」で実施します。マハラノビス距離は、判定1→2→3のグループの順番に増大していくはずです。この傾向が見られれば、判定1のグループを単位空間と位置付けます。