トピックス 品質工学

最終的にはお客様視点

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そもそも品質工学」の第65~72話について、メモをまとめました。

資料はこちら → 65~72(評価法)

p.1 DCモーターが回転することでステージを移動する加工機(研磨装置)位置精度を評価する検討から話は始まっていますが、お客様の視点などにより評価方法が変わっていきますので、動画を順番に見ていってください。品質工学では、「評価法」が大事です。 第65話では、デジタルノギスを用いて計測していますが、測定器の精度が不足しているようです。

p.2 製品の目的機能に戻って検討する必要性を説いています。その際に「エネルギー流れ図」を用いると整理できるそうです。私もこの方法は、初めて知りました。懐中電灯を事例に説明されています。懐中電灯を点灯する流れを言葉にします。矢印は流れ棒線はエネルギーが変わる場所に書きます。入力が電池出力が光です。電池を直接評価できない場合は、前後のエネルギーを探し、今回は、配線内の電流電圧を評価します。今回の基本機能は、原理的なところになりますので、評価は難しいです。

p.3 今回の加工機について機構を調べます。歯車で動かす機構でなく、ボールねじを用いているようです。エンコーダーに入力した指示値により電力がモーターに供給されて、ボールねじが回転、そしてステージが移動する機構になっています。この装置の回転数をカウントするためには、接触法非接触法があります。ネジ部に印を2箇所につけて検知すると分解能は2倍になります。

p.4 次に、大本のDCモーターの電力変化あるいはねじ末端にACモーターを装着して、発生電流値を計測するアイデアが評価技術として出されます。ステージに物がないカラ状態の電力量をベースにして、加工時の電力量との差を仕事量として評価します。動画の動特性のグラフでは、3ステップの電力量が変化していませんが、例えば、送り速度を3水準変化させて評価した方がよいと思います。望目特性の場合は、ばらつきを最小となる条件を探します。第70話では、動特性の信号因子がステージの移動距離になっていました(p.5)。そのため、3ステップの電力量が変化していなかったようです。

p.5 荷物カラ荷物アリ誤差因子として、ステージ移動距離を変化させて6つのデータを計測します。同時に大本のDCモーターとACモーターのデータを取得します。右上大本のDCモーターの電力量を荷物有り無しで描いたものです。波形が乱れていますので、データ3個ずつの移動平均で処理したものが、その下のグラフです。これでもベースラインのゆらぎが大きいですね。積分をすると平均化されて、ばらつきは解消するようですが、平均をとると情報が低下してしまうので、この方法はお勧めできないようです。次に、左下をご覧ください。ACモーターの電力量変化です。拡大してみると、荷物アリの場合、ジグザグ模様になっています。遅れると速く動かし、速すぎると抑制するフィードバック機構が組み込まれているようです。誤差因子は、出力が大きいものと低いものに分けます。この場合、荷物アリはいつも大きいとは限らないので、荷物有り無しをN1とN2に振り分けるのは望ましくありません。

p.6 左上をご覧ください。2つの直線の間隔を狭める検討を行ってもよいかもしれませんが、例えばaポイントを引き上げるパラメータを見出した場合、bポイントも上げる効果を与えてしまうので、間隔を狭める条件出しは困難になります。 そこで、マクロ視点、担当者視点及びミクロ視点エネルギー流れ図を描き直します。マクロ視点では、研磨状態が鏡面仕上げになるのが理想となります。

p.7 鏡面仕上げを最終目的とします。モーターがブレなく動いていれば供給電力の正弦波になるはずです。正弦波を理想としてグラフの横軸、モーターの電力波形を縦軸にプロットしたものが右上図です。波形形状の転写性標準SN比を用いて、理想に近づける条件を見出します。検討の最初は、ステージの位置精度を評価するでしたが、最終的にはお客様視点の目的を評価することに変わりました。この流れは大事ですね。

p.8 「人に教えること」で取り上げた言葉が、最後にまとめとして登場します。

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