シミュレーションデータ解析(昨日)の続きです。
資料はこちら → 制御因子(62~64)
p.1 第62話「評価するとは計測器を作ること」です。左がシミュレーション結果です。どのように数値化するかを考えます。排気温度は下流の温度全てを用いるか、中央の温度を用います。実験の計測温度は、この中央値に対応します。全ての温度を用いる場合は、室温を差し引いた温度を加算します。右下の①〜⑱のグラフは、横軸を(フィン温度−空気温度)、縦軸は、空気温度差し引いた全ての温度の和です。「品質工学は評価技術である」
p.2 シミュレーションの全体、中央値及び実験の実測値を基に、L18のSN比と感度を算出します。計算式は、昨日の資料のp.3に掲載しておきました。シミュレーション結果は、「そもそも品質工学第64話」の動画下にある説明書きの中にzipファイルがありますので、ダウンロードしてみてください。3つのExcelファイルが入っています。これらのデータを用いて、L1~L18のSN比と感度を計算したのが左表です。シミュレーション全体のデータを使用した計算結果が一番左、その右は中央値のみを用いた計算結果です。実験の実測値のデータは、見当たりませんでした。シミュレーション全体と中央値のSN比と感度の要因効果図を描いたのが右図です。全体の感度に関する縦軸は大きい値ですので、比較し易いように下に平行移動させました。実験値は不明ななので、動画の要因効果図を読み取ってプロットしました。SN比と感度について、動画で最適としている水準に赤と緑の楕円で印をつけておきます。動画の中で、実験担当者は、「フィンが多くて、出口に近い方が放熱特性が良さそう」という感触を持っています。この感覚は、要因効果図の「感度」を感じているようです。
p.3 第63話「品質工学とシミュレータ」の内容です。ここでは、制御因子の寄与率を計算しています。寄与率を求めるには、分散分析表を作成する必要があります。中央にある分散分析表において、自由度f=水準の数-1、Sは制御因子A~Hの平方和、分散VはSをfで割って算出します。各制御因子の平方和は、要因効果図を描く際の補助表の数値を用います。制御因子Aは9つのデータの平均値なので、水準毎に9倍し加算、B~Hについては6つのデータの平均値なので、水準毎に6倍し加算します。全平方和STは、右表のL1~L18のSN比を用い、表下の計算式を用いて算出します。Hエラーの下に偶然誤差eがあり、eの平方和Se= ST-(SA+SB+⋯+SH )で求めます。F0及び寄与率ρの算出式を載せておきます。制御因子毎に算出して、表を埋めてください。誤差eより小さいSは、まとめて誤差eに加算します。このことをプーリングと呼びます。左の円グラフは、制御因子の寄与率を表しています。左下はプーリング後の円グラフです。
p.4 第64話「パラメータ設計の確認実験」です。最適条件、現状条件および感度重視条件について、SN比と感度の推定値を算出し、確認実験の値と比較したものが右下の2つのグラフです。SN比及び感度共に、最適条件が現状条件よりも改善が認められます。
第59~64話まで、動画の解析を推測しながら確認してみました。今まで、寄与率の存在は知っておりましたが、算出方法は実施してみて理解できました。動画をみるだけでなく、手を動かしてみてください。
今回解析に用いたExcelファイルです → 59~64