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アナロジー的に見ると

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社会人のための化学工学入門」(著者:斎藤恭一 発行所:朝倉書店)を紹介します。著者は化学工学を長年教えてこられた方です。著者は化学工学と言わず「会社化学」と位置付けて教えています。面白い発想です。大学で知識を得ても、実際にどのように使うかわからないと宝の持ち腐れになってしまいます。同感です。私の大学の専攻は化学系で、分析、無機、有機化学は大嫌いで、化学工学物理化学が好きでした。卒研の研究室を選ぶ際に、数値計算をする化学工学にするか原理的なところを学ぶ物理化学にするか迷って、結局、物理化学を選びました。化学工学を選んでいたら違う道を進んでいたかもしれません。もう一度、化学工学を学んでみようと上述の本を読み始めました。 うろ覚えしていた部分に少し光が当たってきたような気がします。皆さんは興味がないかもしれませんが、しばらくはこの話題でいきます。

資料はこちら → 化学工学

p.1 アナロジー(類似性)で考えるとよい。というのが今回得られた知見です。質量・熱及び運動量の英語の頭文字をとって「マヒモ」と覚えます。この3つを用いれば、ほとんどのものが説明できてしまうようです。先ずは「流束」という概念です。流束は物理量面積時間で割ったものです。この物理量のところに「マヒモ」を入れると、3つの流束となります。「流速」とは違います。「」ですから面積で割ります。 各流束の単位をご覧ください。運動量流束の単位は「圧力」なのです。 全流束=拡散流束+対流流束 と書き表されます。上述の著者は、拡散はジワジワ対流はドヤドヤと表現しています。この表現イメージし易いと思います。コーヒーのミルクを入れて、何もしないでおいても徐々に拡がっていくのをジワジワの拡散、スプーンでかき混ぜるのがドヤドヤの対流です。対流流束=濃度×速度 と書くことも覚えておいてください。 拡散流束については、後で説明します。

p.2 熱に関する流束の式です。「マヒモ」の「」です。対流流束=濃度×速度なので、熱濃度の単位は[J/m]となります。あとは、熱に関わる温度T密度ρ及び比熱Cを組み合わせて単位が[J/m]になるようにすると「ρCT」が得られます。

p.3 運動流速の対流流束では、運動量濃度の単位が[kgm/s/m]です。これは各成分速度密度の積になります。速度vが3次元ではベクトルで表されるので、運動量濃度の速度ベクトルを掛けた3×3のテンソルが対流流束の式になります。

p.4 流束の式の第1項は拡散流束です。「マヒモ」の順番に並べました。有名な科学者の名前が付いた法則名が書いてありますが、概念は同じなので、式の形状がよく似ています。「」の次に係数その次に物理量の勾配の順になっています。なぜマイナスがつくか? 著者は面白い喩え話で説明してくれます。符号がプラスの場合、お風呂の温度が上昇するにつれて、熱を奪われて人は凍ってしまうことになります。コーヒーにミルクを入れる場合も同じですね。プラスの場合は、拡がらないことになります。 係数の単位を表に入れておきます。 表の下に各係数の数値例を示しておきます。係数値が大きいほど物理量の変化が大きいことを示します。熱の場合は熱の伝わり易さであり、粘度の場合は粘り強さを示しています。

p.5 化学工学で大事な概念は、「流入-蓄積-消失=流出」です。お金に喩えると「入金-貯金-紛失=出費」となります。「定常状態」という言葉が登場します。 時間変化に関わらず物理量が一定である状態です。 時間変化により物理量が変化する場合を「定常」と呼びます。

何十年も化学工学から遠ざかっていましたが、新たな発見もあります。アナロジー的な考え方は大事ですね。根本的な原理は一緒のようです。

 

 

 

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