「ユーザー目線で役立つ接着の材料選定と構造・プロセス設計」(著者:原賀康介 発行所:日刊工業新聞社)を読み進むと、統計で見慣れた分布曲線が多数描かれています。接着におても、統計が重要なツールなのです。
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p.1 横軸が接着強度、縦軸が確率密度とします。破断部の接着強度が右の分布、左が接着部に加わる力の分布です。接着部に加わる最大の力Pmaxのところに縦棒を引きます。接着強度の分布のうち、Pmaxの線より左の水色の領域が「安全側に見積もった発生不良率」、2つの分布が交じる部分が「実際の発生不良率」となります。
p.2 左図は平均値μが等しい場合、変動係数Cvが大きい分布と小さい分布を描いています。オレンジ色の部分が「許容不良率」、その上限値をpとします。右図は、接着直後は変動係数が小さい分布ですが、経時劣化により接着強度の平均値μは減少して、分布のばらつきが大きくなるので変動係数は大きくなります。このようの分布になることをイメージしておくと良いですね。
p.3 「ばらつき係数d」は、前ページの「許容不良率の上限値p」を平均値μで割ったp/μで表します。このばらつき係数と変動係数Cvの関係を示した図です。許容不良率を変えた複数の線図が描かれています。これの図も、右型下がりのイメージを持っていくと、正確な数値でなくとも役立つと思います。
本日は、接着強度の分布のイメージを図にして覚えておくとよい事例をピックアップしました。