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視覚と聴覚どちらが優先?

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タイミングの科学」(著者:乾 信之 発行所:京都大学学術出版)を紹介します。ピッチャーがボールを投げて、バッターが打つ際に途中で止めることができるか? 視覚聴覚どちらが情報として優先されるか? チームプレーに掛け声は必要か? 踊りのリズムは?など興味深い話題についてデータに基づき解説されています。

資料をご覧ください → タイミング

p.1 音や光に対する「単純反応時間」を年齢毎に測定した結果が左図です。20歳代が一番応答が速くばらつきも小さいことがわかります。右下のグラフは、光が2つあった場合、5つあった場合、点滅したランプの近くのスイッチを押す試験結果です。 いずれも年齢と共に反応時間が遅くなります。5つの場合には、20歳代に比較して60歳代は200ミリ秒も反応が遅れてしまいます。時速50kmの自動車の場合、2.8mも進んでしまいます。 最近、歩行者の列に突っ込んでしまうのも、この反応時間の鈍さが一つの原因になります。 これ以外には、力のコントロールができなくなって、目標値より大きな力を発揮してしまうようです。 ブレーキなら良いのですが、近くにあるアクセルを思い切り踏んでしまうのでしょう。また加齢に伴い、自分ができることを過大評価することも原因のようです。

p.2 視覚聴覚を比較すると、聴覚情報の方が視覚情報より速く取得できます。視覚は光化学反応が伴うので、時間がかかるようです。がコンピュータのCPUだとすると情報処理能力は30~40msec、周波数では25~33.3Hzとなります。コンピュータは1~3GHzですから、処理スピードは非常にゆっくりしています。 視覚と聴覚情報が同時になるのが、距離約10mで、10m以上の場合は視覚が優先、10m以内の場合は、聴覚が優先となります。

バッターがスイングを開始して0.1秒(100msec)以内では動作をとめることができないそうですが、運動パターンを訓練することで、回避することが可能になるようです。フェイント対応もパターンを練習することで、反応遅れにならないように予測した動きができるようになるようです。

農耕民族の踊りは2拍子、狩猟民族は馬のギャロップの影響で3拍子になったと書かれています。この他にも興味深い話題が紹介されています。

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