統計に「検定」という処理がありますが、どんな問題にも検定を適用して、結論を出すことを考えておられるかもしれません。 先日、試験検査に従事する作業者の力量や評価方法を設定するに当たり、有意差検定を用いている事例がありました。有意差検定でも判定することは可能かもしれませんが、定性的な評価になってしまう気がします。 有意水準との大小関係で、有意差があるかないかを評価することが意味があるのでしょうか? 例えば、P値が0.06の場合有意差があるとは言えず、0.04の場合有意差があると機械的に判定してもよいのでしょうか? 統計ソフトを使えば、ある意味自動的に判定結果を出してくれます。果して、これでよいのでしょうか? 2つの方法を提案します。今日はそのうちの一つについて、資料に基づいて説明します。採用するかどうかは、お任せします。他に良い方法があるかもしれませんので、あくまでも参考です。
資料はこちら → 真度と3σ
p.1 試験検査の良し悪しを評価する目的をもう一度考えてみてください。校正と同じ考え方をしてみます。 真値は神のみぞ知る値ですが、標準品の表示値とします。標準品とは標準分銅やpHの緩衝液などを意味します。校正における真度や精度は、図をご覧ください。JISではいろいろな用語がでてきますが、今回は分析・試験の許容差通則の語句を用います。真度(正確さ)=計測値-標準の表示値、精度=±(計測値の標準偏差×3)のように定義します。
p.2 Excelを用いて、真度と精度を計算後、グラフ化する手順を述べます。A~Eについて各々50個のデータがあるとします。①A~Eをx軸にして、真度の平均値をy軸に棒グラフを作成します。青枠部をアクティブにして②を実施すると棒グラフが描かれます。③グラフをアクティブにして表示される「+」をクリックして、誤差範囲にレ点すると、棒グラフに「誤差バー」が現れます。④誤差のバーをクリック後、誤差範囲の書式設定クリックして、両方向を選びます。
p.3 ⑤書式設定を下方にスクロールして、ユーザー設定を選択、値の設定クリックすると正と負の誤差範囲の入力フォームが現れます。⑥正と負の値に3σのセル範囲(青枠)を選択して入れてOKをクリックします。⑦グラフの体裁を整えます。
p.4 上述で作成したグラフが左図です。標準品が100Nの場合、各平均値から100を差引いた真度の平均値を縦軸にしたものが右図です。A~Eを比較した場合、Aは真度がゼロですが、3σは非常に大きいことがわかります。どの検査者あるいは評価法が良いと判断しますか? 真度及び3σが小さいものを選択しましょう。
明日は、もう一つの方法である箱ひげ図について説明します。