私のブログはタイトルを見ても、何を書いたか自分でも思い出せないことが多くなってきて、品質工学についても、既にブログで取り上げたかどうかも怪しくなってきています。 先日の日曜日から品質工学の英語版を連続して投稿するに当たり、ブログや研修での資料を見直しています。今回の内容は、ブログでは初めての内容だと思いますので、説明します。コンサルの先生が話してくれた内容を一部思い出して資料に入れ込んであります。
資料はこちら。一部英語に直し始めているので見難いですが。 → QE2
p.1 品質工学の解説書などでは、的と矢であったり、ピストルの弾が当たっている例が示されていますが、ゴルフにしてみました。ゴルフはほとんどやったことがないのですが。同僚のゴルフ好きの方からは、こんなことは実際ないよと言われました。ゴルフをされるコンサルの先生に、品質工学使えばスコアアップするのでしょうねと聞いたことがありますが、はぐらかされてしまいました。 資料を作り直すのが面倒なので、このまま説明します。 従来法の技術課題を検討するやり方をゴルフの練習に喩えました。①ホールがあるポールを目指してショットを打ち、②その後ばらつきを修正するやり方ですね。この場合、地形、風向き、体調やメンタルなどの外乱・内乱の影響(品質工学では誤差因子と呼ぶ)を受けやすいはずです。
p.2 品質工学の場合、①スイングを安定化して、落下地点のばらつきを小さくした後、②方向や飛距離を目標値に合わせます(品質工学ではチューニングと呼びます)。
p.3 従来法と品質工学を図で比較して描いています。
p.4 品質工学では、横軸をエネルギー量、縦軸に特性値をプロットしたグラフを描きます。動特性と呼びます。ゴルフの場合、縦軸の特性値を飛距離とした場合、横軸は飛ばすためのパワーですので、ボールの運動エネルギーを産み出す肩の回転角θとします。右下にある飛距離y=βθという式で表すことができます。理想は、飛距離yは肩の回転角θに比例するとしています。 左図をご覧ください。 プロとアマチュアの特性を図にしてみました。プロはアマチュアより飛距離が大きく、風によるばらつきが小さいことを描いています。理想はβが大きく、ばらつきが小さいことですね。
p.5~7 コンサルの先生の講義内容を思い出しながら絵にしてみました。結構忠実な絵になっているはずです。従来の2段階設計の方法を示します。パラメータA~Dについて3水準ずつある場合に、特性値yの目標値が緑色の水平線です。従来法は、目標値に一致している水準を選択します。パラメータAの温度は100℃のA1を選択します。同様に選んだ最適条件はA1B2C1D3となりますね。①この条件で得られた特性の分布は左下のように許容幅の上下限値よりはみ出ています。②次はA~Dのパラメータのばらつきを小さく管理することで特性値のばらつきも低減します。p.1のゴルフと同様です。
p.6 2つの動特性のグラフです。左が非直線応答、右が直線応答です。同じΔxの幅に対するyのばらつきΔyは、非直線応答のΔyA2が一番小さい分布になりますね。直線の場合は、どこでも同じばらつきになります。この様子を覚えておいてください。
p.7 A~Dの水準1~3についてp.5と同じ特性グラフにしてあります。今回は、ばらつきが小さい水準をp.6を思い出して選定していきます。パラメータBは後で選びます。①A3C3D1Dの組合せが一番ばらつきが小さくなります。この場合、下の真中のように、ばらつきの小さい分布ですが、上限値を上回ってしまいます。そこで、パラメータBはB3を選定することで特性値を低くチューニングします。
p.8 従来法に比較して、品質工学が優れていることがわかります。従来法は、A1B2C1D3を最適選択するのに対し、品質工学はA3B3C3D1を最適と選びます。青の長方形の横幅が特性値のばらつきを同じにするための各パラメータの許容幅です。幅が広い方が管理し易いですね。 品質工学の水準の取り方は今までの経験的なものでは想像できない組合せになるかもしれません。 熟練した技術者は、このことが不安になり、品質工学を敬遠する原因になるようです。