「MTシステムの活用例」のブログで「T法」の活用例を示しました。「予測、優先順位付けに有力なツール(T法その1)」のブログでは、Website上のT法サンプルファイルの説明はしました。このサンプルファイルや市販のソフトを用いずに、Excelでできるようにしました。 マクロを組めばもっと使い易くなるのですが、今回は原理的なものを理解して欲しいので、何回かに分けて説明します。
Excelファイルはこちら → T法(説明用)
説明資料はこちら → T法の事例2-1
p.1 作業日時~気温までのパラメータと特性値であるシール強度のデータがあります。(Excelの「基本データ元」シート) グラフにすると右下のように、ばらついて解析不能ですね。一昨日のように季節変動は多少傾向がみられるかもしれませんが、それ以上の傾向は掴めません。 こんな時に、この「T法」が活躍します。
p.2 作業日時をExcelの関数式を用いて、月、日、曜日に分解します。作業者A、B及びCは数字1、2及び3に置き換えます。また、金型No.1、2及び3も数字1、2及び3に置き換えます。T法は、このように数値に置き換えることで、種々のパラメータの影響を見積もることが可能になります。Excelの「基本データ」がこれらの処理した結果です。
(2023.9.6 追記) 1、2及び3と割り付ける際に、特性値が単調増加あるいは単調減少の順番になるよう設定するか、「ダミー変数」を利用してください。「ダミー変数」については、「T法にもダミー変数適用」のブログをご覧ください。
p.3 「基本データ」を特性値の大小関係で並べ替え、特性値の平均値付近の3つ以上のデータを選び「単位空間」としします。この3つのデータ以外が「信号空間」となります。各パラメータ毎に「単位空間」の平均値を算出します。Excelの「単位、信号空間」シートは、「単位空間」(黄色の4~6行)と「信号空間」(7~419行)に分け、単位空間の平均値を3行目に示しています。
p.4 以降の計算にL12直交表を用いる関係上、パラメータを11個にします。「信号基準化→β、η」シートは、「単位、信号空間」シートの信号空間のデータから単位空間の平均値を差し引いて基準化したデータです。各パラメータ毎にその単位空間の平均値を差し引いて計算します。 横軸に基準化した特性値、縦軸に各パラメータの基準化したデータをプロットしたグラフが、ExcelのP列より右側にあります。β及びηはp.5の式で各パラメータ毎に算出します。 βはグラフの勾配に相当し、ηは近似直線からのズレを表しています。つまり、βが小さいほど、特性値に影響を与えます。 ηが大きいほど、近似式の近くに値が集まっている(ばらつきが小さい)ことを意味しています。
パワーポイントには、作業者、シール時間及び気温のパラメータのグラフを示しました。赤線が一次近似です。 作業者と気温は相関がありそうです。この場合、シール時間はシール強度に影響をあまり及ぼしていない結果になっています。 今回のデータは現実のデータではありませんので、理論と合っていないことはご了解ください。
本日はここまでです。 この土日は、行事が多く昨日のブログは休んでしまいました。今日もまだ疲れが溜まっています。