昨日のブログのように「墨流し」の場合、炭素の微粒子がゼラチンに包まれて水面に浮かんでいて、油を落とすと油が拡がり墨を外へ押しやります。
資料ご覧ください。 → 単分子膜
p.1 ステアリン酸のように親水基と疎水基を持った分子を溶媒に溶かして水面に落とすと親水基を水面に、疎水基を空中に立てた形で浮かびます。最初は「気体膜」と言って分子がまばらのため斜めに立っていたりするので占有面積は大きいですが、油を垂らすとステアリン酸が押されて「液体凝縮膜」を経て疎水基が垂直に立った「固体凝縮膜」の状態になります。この時、占有面積は最小になり、これ以上小さくなりません。右下のグラフのx軸の右から左の方に向かって水面上に浮かんでいるステアリン酸の状態が変化していきます。この水面上の膜を「単分子膜」と呼びます。
p.2 ステアリン酸の単分子膜を水面上に形成した時、「固体凝縮膜」の占有面積A、単分子膜の面積Sそして水面上に展開したステアリン酸の重量より、1モル中の分子数(アボガドロ数)を算出することができます。
p.3 水面上の単分子膜を平板上に付着させることを繰り返し行うと3種類の累積膜を作製することができます。この累積膜のX線回折を実施したものが右上図です。周期的なピークがあるチャートが得られます。移しとる平板の表面を予め疎水化処理しておくと疎水部分から吸着していきます。X、Y及びZ膜の形態があります。似た者同士が吸着し合います。以前のブログでも述べました。
p.4 脱線します。シャボン玉は洗剤(界面活性剤)を水に溶かしてストローの先に付けて吹いて作ります。この時、シャボン玉を輪切りにして断面を拡大してみると、水分子を挟んで親水基が内側、空気の方に疎水基が並んだ構造になっています。
p.5 私が大学の研究室にいた頃、植物の緑色の色素であるクロロフィルを水面上に浮かべて単分子膜にして銅板上に累積膜を形成しました。この上に水銀を載せて接点として、光を照射して流れる電流を観測しました。 植物は、光合成といって太陽エネルギーをクロロフィルで受光してそのエネルギーと二酸化炭素により糖を生成するのですが、そのモデルを電気エネルギーとして取り出せないかという研究でした。 クロロフィルの色については、以前のブログで述べました。 これらの実験に使うクロロフィルを抽出するために、時折、八百屋さんにホウレンソウを買いに行っていました。これも以前ブログで述べました。