昨日の「MTシステム」について具体例を示します。資料をご覧ください。
資料はこちら → MTシステム その2
p.3 2枚のプラスチックシートを熱シールする工程があったとします。シール強度の規格が8.5~11.4Nで日々生産していたところ右端の矢印に規格外が発生しました。さて、生産管理や品質管理の皆さんは、どのように原因を探るでしょうか? 表上部に、作業日~気温まで10項目のデータがあります。
p.4 従来のやり方であれば、横軸を時間、縦軸が特性値(今回はシール強度)の管理図と呼ばれるものを描いて、季節変動・週内変動・日内変動・金型の違いがないかを調べたりするはずです。 このやり方ですと限界があります。
p.5 作業日時を年・月・日・曜日に分解します。数字で置き換えます。月曜日→2、火曜日→3、・・・、金曜日→6、作業者A→1、作業者B→2、作業者C→3という具合です。言葉を数値で分類します。 こうすると、言葉のデータも原因分析の有効なデータとなります。 「T法」という手法は平均的な集団を単位空間として、特性値に与える影響度を調べることで信号空間を予測することが可能です。例えば、作業者Aが金型No.1を用いて金曜日にシールしたシール強度はこんな値を持つと予測することが可能になります。これを上手く利用すれば、こんなシール強度になったのは、金型No.2で週末にシールすると起こり得ると推測することも可能なのです。
p.6 平均的なデータを膨大なデータから選択します。シール強度が低い方から高い方まで順番に並べて、中間付近(赤丸)のデータを単位空間として選びます。また各項目の平均値も算出します。
p.7 各項目について、通常とは異なり、横軸に特性値(シール強度)、縦軸に各項目のデータ値でプロットされています。このグラフの傾きβとSN比ηを算出します。
p.8 算出式です。総合推定SN比を算出します。
p.9 L20直交表に上記総合推定SN比を計算して各行に記載しますが、その際に、水準1は項目を使用した場合、水準2は使用しないとして総合推定SN比を算出します。
p.10 各項目について水準1と2のSN比と貢献度を算出して、要因効果図及び貢献度図を描きます。貢献度より、曜日・作業者・金型・気温・時刻がシール強度に大きな影響を及ぼすことがわかります。
p.13 「5と読める」16のパターンを単位空間についてp.14の「存在」と「変化」の個数をマスの行ごとに数字にして並べ、各マスの平均値と標準偏差を算出します。
p.14、15 各マスの値から平均値を差引き、標準偏差で割り基準化した数値に変換して、対角線が1になる「相関行列」を算出します。その後、逆行列に変換して、16個のパターンのマハラノビスの距離Dの2乗を計算します。平均値が1.0になる単位空間であることがわかります。
p.16、17 赤枠で囲った未知のパターンについても同様に数値化してマハラノビスの距離Dの2乗を計算すると、パターン4は110.2で非常に大きい数値のため、5の仲間とは言えません。MTシステムでは、閾値の目安が4ですので、パターン2は、4.1で微妙と判定されます。
p.19 波形も数値化して評価できます。縦方向に短冊で区切ります。赤丸が付いているラインをみてください。変化点とは色が付いているところといないところ境界ですので赤丸の6か所です。存在量は色が付いている柱が幾つあるかを数値化しています。
p.20 正常な温度変化が上図、下図は比較対象です。
p.21 マハラノビスの距離Dを算出してヒストグラムを描くと赤枠のところが異常であることがわかります。
p.22 射出成型をする際の圧力変化を測定したものを同様に処理してマハラノビスの距離Dを算出を算出すると赤丸のところに異常シグナルが確認できます。
p.24、25 天候の情報を基にピーク電力使用量を予測することも可能です。
p.26 Minitabというソフトを用いて多変量解析をすると、p.3のデータより、どの因子が影響が大きいかを示してくれます。
いかがでしたか、私もまだまだ理解不足のところがありますが、非常に有用なシステムだと思まいませんか?興味のある方は、「入門MTシステム」の著者である手島正一さんの会社がMTシステムのソフトを販売しています。このソフトを用いれば、方法を選んでデータを入力すれば、ある程度自動的に計算してくれます。
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応用分野のところをクリックしてソフトを選んでください。
例えば「異常予測」をクリックすると → http://www.angletry.com/modules/smartsection/item.php?itemid=48
関連するソフトウェアの一番上の「MTRT-Addins」をクリックするとソフト一覧がでてきます。原因究明であれば、「MTRT-AddIns-TRT」の250項目で十分だと思います。