植物は、自ら動けないけれど戦略を持って生きているという話をしました。植物が生きていく上で創られたものが「薬」なのです。今日は、その話をまとめてみました。資料を見てください。 → medicine
p.3: 本日の話題とは違う話ですが、「どんぐり」はどこから芽と根がでてくるかご存知ですか? 写真をご覧ください。 なんと、「ショウジョウバカマ」は、葉っぱの先から芽と根が出るそうです。
p.4: さあ、問題です。 DHMOという物質は、次の性質があります。DHMOは、有害ですか無害ですか?
- 酸性雨の主成分
- 有害成分やガン細胞にも含まれている
- 固体状態に長時間接すると皮膚に重篤な障害
- 大量のDHMOで呼吸障害の被害者が毎年出る
- この気体は大気の視界を悪くし、交通障害になる
- 温度によって体積を著しく変化するため、爆発事故が起きる
- 多くの工場は無制限に環境中に垂れ流している
DHMOは「最悪の化学物質」のようにみえますが、「Dihydrogen Monoxide」の略です。日本語に訳すと「一酸化二水素」。これでもまだ危なそうな気がしますね。化学式で書くと「H2O」で「水」なのです。水も時によっては有害な場合もありますね。
p.5: 貴族がなぜ「銀食器」を使っていたかも、理由があったのですね。
p.7: 薬と毒は隣り合わせと良く言いますが、理想的な薬はp.7下の図のようになります。
p.8: この表をご覧ください。 ヒ素、青酸カリに比較してボツリヌス菌の毒性は高く一番だそうです。薬には「拮抗性」という性質があり、反対の効果により中和するものがあります。例えば、フグ毒(テトロドトキシン)とトリカブト(アコニチン)は拮抗性があるそうです。まさしく「毒は毒をもって制す」ですね。
p.9: ベラドンナ(イタリア語で美しい人)は、少量目にさすと瞳孔が開いて「美人」に見えるそうですで、昔使い過ぎて亡くなった方もいたようです。
p.10: 欧米は植物から効く成分を抽出・単離して薬にしています。現代は、この流れに沿っていますね。一方、中国や日本は漢方薬のようにいろいろな生薬を混ぜて処方するタイプです。長い目でみれば、人間の体には後者の方が優しい気がします。
p.11: ここから本題です。なぜ、植物は薬あるいは毒を創るのか? 「ケシ」は食べられないように「モルヒネ」を生成しているのです。
p.14、15: 柳で作った楊枝を使うと歯がうずかないそうです。柳が病原菌の攻撃を受けると、揮発性が高いサリチル酸メチルができて植物全体に知らせるのです。このサリチル酸メチルは打撲した際に貼ってすうーっとする湿布薬に含まれていますし、似た化合物に鎮痛効果があるアスピリンがあります。p.16にサリチル酸メチルがふくまれている食材を入れておきました。
p.18: ニコチンは、昆虫や小動物を撃退するために生成されたもので、神経毒です。この話を聞いても、タバコが好きな人はなかなか止められないのでしょうね。
p.19: コーヒー豆は、地面に落ちると大量のカフェインを地中に放出して他の植物の芽生えを阻害するそうです。
p.21: 「甘草」って聞いたことありますか? 風邪の時に飲む葛根湯にも含有されています。天然甘味料となるグリチルリチンが甘草の根にあります。
p.22,23: ポリフェノールは健康に良いと聞きますが、タンニンやフラボノイドも仲間なんですね。このタンニンも、実が熟す前に食べられないように植物の中で生成するようです。
p.27: 地球が誕生してから46億年、陸上植物は5億年、それに対して ヒトは200万年しか経っていないのである。植物は自己を防衛するために、戦略的にいろいろな化合物(薬を含む)を創り出し、人間がそれを上手く利用しているのです。自然は素晴らしい!!