昨日「交互作用」の話をしました。品質工学で用いる混合型直交表(L12やL18)は、実験計画法で使用される割付表に比較して、交互作用が現れ難いあるいは均等に分配されていると言われています。「難しくない品質工学」(著者:鈴木真人 発行所:日刊工業新聞社)に、どの程度交互作用の影響がでるかについて要因効果図で目で見える形で説明しています。早速、Excelで実行してみました。皆さんも、Excel表で思考実験してみてください。
説明資料 → 交互作用その3r
Excelファイル → 交互作用
p.1 L18直交表は、制御因子がA~Hの7つがあり左上のように水準が割り付けられています。要因Aだけ2水準、あとは3水準です。 品質工学は通常SNで評価して、SN比は加法性があります。 そこで、この割付表の水準値をSN比と見なします。L1からL18の実験各々について和の合計値を算出します。L1行は1が8個なので8、L2は14です。同様にL18まで算出して要因効果図を描きます。 Excelファイルの「交互作用なし」のシートをご覧ください。割付表の水準値をそのままSN比にしたので、要因効果図はどの制御因子も右肩上がりの同じ形状ですね。 下半分は、全ての制御因子が交互作用があるとして、各行とも足算ではなく掛算で算出しました。この要因効果図は、因子AとBで異常な形、C~Hについても右肩上がりですが、いびつな形となってしまいます。
p.2、3 では、2列のみ交互作用がある場合を試してみます。交互作用のある部分だけ掛算、あとは足算です。AとB、BとCそしてCとHの交互作用がある場合です。AとBの場合は、加法性ありの場合によく似ていますが、BとC及びCとHの場合、交互作用がある因子が強調されそれ以外の形状がいびつになっています。過去ブログ「たくさん種類があって選択が困る時は?」でAとB列に6種類割り付けても良いのは、交互作用がAとBにあってもC~Hに影響しないからなのでしょうか?
p.4 全てが交互作用ある場合を上に再掲します。下の表及び図は、各行の値の対数を10倍した値を結果として、要因効果図を描いたものです。交互作用がない形状に似てきました。 品質工学を編み出した田口先生が、交互作用があったとしても、対数をとることで各列が交互作用の影響を受けることなく独立した要因効果を示すことを考案したようです。 品質工学では、交互作用が生じ難いL12あるいはL18の割付表を用い、さらに対数をとることで、各列が独立、言い換えれば直交することになります。なので、「直交表」と呼ぶのですね。
今回、実験計画法の交互作用の話から、品質工学の直交表の意味が少しイメージできました。皆さんは、いかがでしたか? 交互作用の件は、言葉では知っていましたが、このように図示してみると理解し易いですね。