ベイズ理論の続きです。情報が不足している場合、あるいは情報が更新された場合の確率を求めます。何れの場合も、従来の統計学では求めることができませんでした。ベイズ理論は、刻々と変化する情報を用いて確率が計算できるので、自動運転などにも利用できますし、過去の原因を「ベイジアンネットワーク」を用いて解明することも可能です。「親が子に、子が親に‥‥」でも取り上げました。
資料はこちら → ベイズ再びその2
p.1 情報が不足している事例です。A社とB社の壺内の赤玉と白玉の数はわかっていますが、壺の外観上はA社製かB社製か不明です。壺から1つ玉を取り出した時、赤玉でした。A社製の壺である確率を求めよ という問題です。A社製壺は、赤3個・白7個、B社製壺は、赤6個・白4個です。昨日、ベイズの問題の解法手順を示しました。手順に沿って数値を代入していきます。①A社製の場合、赤玉を選ぶ確率は3/10、B社製の場合、赤玉を選ぶ確率は6/10となり、これが尤度(ゆうど)です。②事前確率つまりA社製の壺を選ぶかB社製の壺を選ぶかの確率は示されておらず情報が不足しています。このような場合、ベイズ理論では、条件が与えられない場合「等確率」とします。よって事前確率は1/2ずつにします。③事後確率は、昨日の資料にある式で、①と②の値を代入して計算します。A社製の壺である確率は1/3と求められました。
p.2 最初に取り出した赤玉を壺に返して、もう一度取り出すとまた赤玉でした。この時、A社製の壺である確率はどう変わるでしょうか? 手順に沿って解いていきます。①尤度はp.1と同じで変わりません。②1回目の情報を利用します。1回目のA社製の確率が1/3でした。B社製の確率は1から1/3を差し引いて2/3となります。これらの数値が事前確率です。この1回目の情報を利用するところが「ベイズの更新」といってベイズ理論の真骨頂の部分です。③事後確率の式に数値を代入して1/5が得られました。B社製の壺内の赤玉の比率がA社製より大きいので、2回も赤玉が出たという情報は事後確率に反映して確率が1回目よりも減少しました。