昨日紹介した鏡の国の生き物をつくる」(監修:藤原慶 発行所:日刊工業新聞社)に「螺旋を左に、ハンドルを右に」(著者:柞刈 湯葉:いすかりゆば)という短編小説が掲載されています。作者は、生物学系の研究職をしていたこともあり、専門的な単語も出てきますが、面白く読みました。大学の准教授が、左巻きDNAの細胞を作る特許を基に実験農場を建設して、新たな商品を売り出していこうというストーリーです。 現在、地球上の生物は右巻きDNAで形成されています。昨日のブログで、生体組織が鏡像である「鏡像人類」の違いに関するクイズを紹介しました。我々人類は、L体のアミノ酸を摂取し、糖類はD体を摂取してDNAを生成するので、右巻きらせんの構造体が出来上がります。左巻きらせんの生物を商品化するメリットは何だと思いますか? 例えば、微生物による分解がなく、虫に食べられなく速く成長する木であれば、低コストの住宅用木材とすることができます。花粉が飛び散っても、花粉症にならない。だそうです。匂いや味も変わるようなので、新しい芳香剤や食物が開発されるかもしれません。左巻きらせんの植物を育てるには、左巻きらせんの微生物を培養するなどの環境を整備することも課題になるようです。 邪魔されず増殖することにより生態系が変わってしまうかもしれないので、リスクアナリシスは必要です。