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100%反応する機能

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技術的課題を考える際に重要なことは「機能を考える」です。品質工学では、理想として「目的機能」を考え、それを評価し易い「基本機能」に置き換えました。「開発現場で役立つ品質工学の考え方」(著者:長谷部光雄 発行所:日本規格協会)を再度読んで、機能について気になった点をまとめてみました。

資料はこちら → 機能の考え方

p.1 解決しなければいけない具体的な問題がある場合、直ぐに具体策を考えるのではなく、一度抽象的な問題に置き換えて考えて解決策を見出した後、具体策に反映させます。これは、以前取り上げた微分方程式を解く際のラプラス変換に似ています。解くのが容易なウラの世界に一度変換していました。 照明器具というシステムでは、いずれにも共通している概念入力エネルギーを出力として光に変換する」を機能として考えるわけです。機能は、技術手段の上位概念に位置します。

p.2 機能を考える際のポイントが3つあります。1.目的を考える。2.範囲を明確にする。そして3.エネルギー変換で考える。1番目は、p.1で説明した「抽象的な目的」のことです。目的は、ある意味抽象的でも構わないのです。私は「あるべき理想」としています。2.の範囲は、右上のようにどこを考える必要があるか範囲を明確にします。モーターなのか伝達機関なのかを決めます。 「システム分割」といってもよいかもしれません。3番目の説明事例としてエンジンというシステムを考えます。普通に考えると入力が燃料で、出力を馬力とします。品質工学創始者の田口先生によると、入力は「燃料と酸素の化学量論的反応」とするそうです。単純に入力を燃料にすると、出力の馬力を出すために目一杯燃料を供給すればよいという結果になり、排気ガスが大量に発生するかもしれないのです。「燃料と酸素の化学量論的反応」が100%進めば、余計な排ガスを排出しないクリーンなエンジンになるわけです。さすが田口先生です。機能は、よくよく考えないと間違った結果を導いてしまいます。直交表実験よりも、ここがなのです。

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