「世界を支えるすごい数学」(著者:イアン・ステュアート 発行所:河出書房新書)から「政治家が有権者を選ぶ」というタイトルの章に興味あることが書かれています。日本でも小選挙区とか比例代表など選挙区に関する議論はされています。人口に合わせて定数是正をしていますね。確かに是正はされますが、地方と都市部の格差は広がりそうです。
資料をご覧ください → 選挙区
p.1 選挙区の区分けの仕方で獲得議員数が変わってしまうのです。左上のようにホワイト党とダーク党の支持者数が20:30だったとします。Aの区分けは、過半数をダーク党が確保して5議席全てダーク党になります。Bの区分けでは、ホワイト党が3議席、ダーク党が2議席となります。Cでは、ホワイト党2議席、ダーク党3議席となります。支持者の割合からするとCが良さそうに思えます。
p.2 実際に米国であった話です。ニューヨーク州知事ゲリーが、右図のように区分けをしました。サラマンダー(火の中にいる伝説上のトカゲ)に似た不自然な選挙区の区分けにして自党に有利な区分けにして問題となりました。ゲリーとサラマンダーの造語で「ゲリマンダー」と呼ばれています。この訴訟問題の後、選挙区の区分けに対しては、右のような改善策が検討されてきていますが、メリット・デメリットがあり、完全な解決には至っていないようです。
p.3 死票の観点で、p.1の区分けについてみてみます。選挙は過半数あれば決まりますので、過半数を超えた投票及び自党に寄与していない票数の合計となります。A〜Cについて各党の死票をカウントして、(ホワイト党の死票−ダーク党の死票)÷総投票数を算出します。理想は0%ですが、Aはホワイト党の死票が多く、BとCはダーク党の死票が多くあることがわかります。A〜Cの中ではCが0%に近いですが、まだまだ公平とは言い難いようです。
選挙区の区分けは、政治家の思惑で設定されるので、市民が選挙で政治家を選ぶのではなく「政治家が有権者を選ぶ」という章のタイトルにしたようです。政治家は有権者あっての政治だということを忘れないで欲しいものです。