「ウソをつく生き物たち」(著者:森 由民 発行所:緑書房)を紹介します。本の最初のほうは、「擬態」の話題が取り上げられていて、本のタイトルの「ウソ」に合致していますが、最後の章「ウソと希望が未来をつくる」が面白いです。その中でも「イヌのウソ」が面白いですね。オオカミは、仲間同士協力して獲物を追うのですが、イヌにはいろいろなタイプがあるそうです。他のイヌが獲物を見つけても、気にしないイヌ、ベテランのイヌより前に出る出しゃばりイヌ、わざとニセの進路を選んで他の仲間を間違った方向に誘導するウソつきイヌなどがいるそうです。 次は、面白い実験が紹介されています。実験①飼い主以外にイヌが見知らぬ二人を用意します。二人を「イヌに協力的な人」と「イヌに非協力的な人」に設定し、協力的な人は箱内の餌を取り出してイヌにあげます。非協力的な人は、餌を見せますが与えません。 次に、ソーセージあるいはビスケットが入った2つ箱と空箱を置きます。非協力的な人を連れて行った箱は取り上げられてしまいますが、後で飼い主から残された箱の餌がもらえることになっています。そうすると、イヌは非協力的な人を、空の箱に連れていくようです。非協力的な人は餌をくれないので、ウソを言って空箱を教えるらしいのです。これは、非協力的な人にウソを言って、イヌは自分の利益を計算しているのではなく、どうも飼い主と自分との信頼関係を意識した行動なのだそうです。 次はオオカミとイヌの比較実験です。餌が容器内にあることを学習させた後、フタを容易に開けられないようします。オオカミは自力で空けようと格闘を続けるようですが、イヌはすぐに実験者と容器を交互に見て、人間に助けを乞う仕草をするようです。
以前にイヌ(写真)を飼っていたことがあるのですが、イヌは飼い主の顔色をよく見ていますね。常に視線を感じました。