化学実験を2題紹介します。→化学実験1
一つ目は、「水性ペンの成分を分離する」です。
①細長い沪紙に下から2cmぐらいのところに黒の水性ペンで直径2~5mm位の●を書く
②沪紙の下端をペットボトルに入れた水に浸漬する
③ペットボトルの蓋を閉める
④しばらく静置しておくと、黒い点が次第に上昇し、いろいろな色が現れてきます。 専門用語で、「水を溶媒として展開する」と言います。また、この方法を「ペーパークロマトグラフィ」と言います。「クロマトグラフィ」とは、物質を分離・精製する技法のことを言います。
皆さんが小さい頃、パレットにいろいろな色の絵具を別々に出して、絵を描いているうちに隣同士の色が混ざり、黒い色になった経験はお持ちではありませんか? 黒はいろいろな色の集合体で、上述の手順で実施すると、時間と共に黒インクが上昇し、いろいろな色が現れてきます。 黒色の成分の内、沪紙との親和性が低い(仲が悪い)色ほど、上昇スピードは速く、親和性がある(仲が良い)色は遅くなります。 例えると、スターがずらっと並んだファンと握手しながら通り過ぎていくのに似ています。たくさんのファンと握手すると進むのが遅くなりますね。 上昇スピードが違うので、黒を構成する色の成分が分離してきます。 黒は全ての色の光を吸収するから黒く見えるのです。包容力があるのでしょうか? 何でも吸収してしまう「ブラックホール」も黒ですね。
植物の緑色はクロロフィルという色素です。この色素の汁を上述のように沪紙につけて有機溶媒で「展開」した動画を見てください。下から、黄緑(クロロフィルb)、緑(クロロフィルa)黄色(キサントフィル)そして黄色(カロチン)のように分離してくるのがわかります。綺麗ですね。 → https://www.youtube.com/watch?v=u6jD0hJO-28
この実験のやり方は、この動画にあります。ただ、有機溶媒は市販ではなかなか手に入れ難いです。 → https://www.youtube.com/watch?v=423kaeqA3pk
私は大学の卒業研究で、このクロロフィルを使って実験をしていました。八百屋さんに「ほうれん草」を買いに行って、アセトンと一緒にミキサーに入れてクロロフィルを抽出していました。抽出すると光で分解し易くなるので、暗室で実験していたのを思い出しました。 抽出した液に懐中電灯で照らすと赤く光ります。この赤い光はクロロフィルが発する蛍光です。
次の実験は、「振動する溶液」です。液が振動するのではなく、溶液の色が青になったり消えたり繰り返す現象のことを言っています。溶液の調製手順は、以下の通りです。
①100mLのペットボトル内を水でよく洗う。
②70mLの水を入れ、水酸化ナトリウム1gを溶解させる。
③ブドウ糖1gを溶解させる。
④メチレンブルー(観賞魚用の薬として販売)を数滴 滴下する。入れすぎると青色が消えなくなります。
⑤容器を振ると青色に、静置すると透明になります。 容器を振ると、液の上の空気に含まれる酸素が溶液に溶け込みます。そうすると、メチレンブルー(青色)になります。静置するとブドウ糖に還元されてロイコメチレンブルー(透明)になります。容器内の酸素がなくなるまで、青と透明を交互に変わります。 酸素がなくなると、プラスチック容器は凹みます。