「風神雷神 上下巻」(著者:柳 広司 発行所:講談社文庫)を紹介します。俵屋宗達の代表作が本のタイトルですが、売れない頃からのストーリーになっています。読み易く書かれています。 この本に下絵が登場するのですが、現物を見てみたくなるような動きのある絵のようです。昨日の「青天を衝く」のメロディーのような疾走感のあるイメージが浮かびました。 そこで、Web検索してみました。
こんな絵です → 俵屋宗達
p.1 最初の仕事は厳島神社に奉納されていた平家納経が潮風で劣化し、その修復しています。ほとんど消えているので、他の絵に合わせて想像しなければ描けないのですが、宗達は「朝もやに白くかすむ山の斜面に動く鹿の親子」をイメージしたようです。イメージを絵にしたものが、左の絵です。 この絵を見て、当代きっての文化人である本阿弥光悦に見出され、嵯峨本の下絵を描きます。 この本は日本の印刷本の先駆的な本です。漢字は活字にしやすいですが、ひらがなは文字が繋がるので活字にし難いですね。 光悦は、「放し書き」という光悦フォントを産み出して、この問題を解消しました。
p.2 次に取りかかったのが「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」です。巻物状になっているので、宗達は今で言うアニメーションの手法を考え出したようです。アニメに近いのは、既に鳥獣戯画がありますが、よりダイナミックな動きが感じられる絵になっています。本阿弥光悦の書が入ることにより、その効果が増しています。 下の竹の下絵も、空間的な拡がりが感じられます。
p.3 鹿の群れの絵巻です。絵巻の長さが22mもあるそうです。中央付近にある「たへてやは」という光悦の書が傾いて書かれていますが、インパクトがありますね。
二人のコラボレーションにより、ダイナミックな動きを感じ取ることができます。本物を見てみたくなりました。 皆さんも、日本の文化に触れてみませんか?