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これも防衛手段?

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」の続きです。焼き芋を甘くするコツ、とろろ芋をおろすと手が痒くなる理由などを説明します。

資料はこちら → 糖その2

p.1 サツマイモのデンプンアミラーゼという酵素が長い時間働くとマルトースが生成して甘くなります。左のグラフが電子レンジで急激に加熱した場合とゆっくり加熱した場合のイモの温度変化を示しています。アミラーゼがマルトースに分解する温度がグレーの帯の範囲です。この範囲内にある時間が長いtBの方が甘みが強くなります。ねっとりと蜜が出るような甘い焼き芋を作る手順を右側に示します。水洗いしたサツマイモを新聞紙で包んで水でたっぷり(ビチョビチョになるほど)濡らして、アルミホイルでしっかり包みます。炭の熾火(炎が出ない状態)の上に置いて、何回かひっくり返します。焼き芋のいい香りがしたら、アルミホイルの一部を開けて、竹串を刺してみます。楽に刺されば、完了です。そうでない場合、 アルミホイルを元に戻して、熾火の上に置き直します。1時間ほど、置いておいたと思います。熾火がない場合は、ガスレンジ、オーブン、トースターあるいはフライパンでも可能です、目安の温度・時間を記しておきます。電子レンジではアルミ箔は使えませんので、ご注意ください。濡らした新聞紙の水が水蒸気になってサツマイモを柔らかくしてデンプンが糊化したところで、アミラーゼが働くのが甘さが得られるコツだと思います。新聞紙がないとイモの外側だけが焦げてしまいます。

p.2 昨日、糖の甘さをスクロース1とした場合の比較値を表で示しました。ダイエットに用いられる人工甘味料の構造式甘さを示します。人工甘味料は数値が三桁と甘さが際立って甘いことを示しています。

p.3 コンニャクはジャガイモに比較して糖質が少ないことと、コンニャクのデンプンは「グルコマンナン」と呼ばれ、セルロースと同様にヒトは分解酵素を持っていないことによりダイエットに利用されます。

p.4 デンプンはいろんな植物から得ることができます。デンプン粒形状粒子径は様々です。デンプンは、アミロースアミロペクチンの混合物で、米の種類に応じてアミロペクチンの含有量が違います。アミロペクチンの方が構造上分岐が多いので粘度が高く、モチのようにネバネバになります。

p.5 とろろ芋をおろすと手が痒くなるのは、シュウ酸カルシウム針状結晶が皮膚を刺激するためのようです。表にある植物に含まれており、水への溶解度は低いです。痒み対策を事前と事後について記しておきます。酢やお湯で手を洗えば、結晶が壊れて治るようです。シュウ酸カルシウムは尿路結石の原因にもなるようです。同じ針状結晶の尿酸痛風の原因になり痛みを伴いますね。なぜ植物にシュウ酸カルシウムがあるかというと、動物にデンプンを保管している根を捕食されないためです。植物のを用いた防衛として、青酸配糖体の事例があります。タピオカの原料になるキャッサバ、未熟の梅、タケノコあるいはユリ根に青酸配糖体が存在しています。ただ、青酸配糖体は水やアルコールに浸漬、煮沸あるいは重曹や米ぬかでアク出しすることで除去可能です。

糖から始まって、植物の毒まで話が拡がってしまいました。生化学も、こんな感じで学ぶと面白くなってきます。

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