「ファイナンス学者の思考法」(著者:宮川壽夫 発行所:ダイヤモンド社)で紹介されている面白い実験があります。資料のp.1を見て、どちらのグループが速くより正確な答えを出すか予想してみてください。
資料はこちら → ファイナンス的思考
p.1 グループ1と2に同じ図形を見せて、目視で線分長さの平均値と合計値を算出し、時間と正確性を測る実験を行いました。どちらのグループが速く、正しい計算値に近い値を出したと思いますか?
p.2 平均値は、合計を計算して線分の数で割るので、早く終わると予想されますが、実際は、平均値を算出するグループ1の方がグループ2より速く、しかも正確な値に近い数値を割り出したようです。思考には、直感的な思考であるシステム1と、論理的思考であるシステム2があります。目視で線分の長さを見積るわけですから、合計を求めてから平均値を出すよりも、平均値に近そうな線分より推測した方が速いという考えが浮かぶはずです。ヒトは日常生活において、迅速な判断をする機会が多いので、直感的な思考であるシステム1を多用しています。直感的な思考のことを「ヒューリスティック」と呼びます。
p.3 上述の本のプロローグに面白い喩え話が載っています。発想の仕方には、「セール(帆)を張る」「オール(櫂)を握る」の2とおりがあります。表に特徴をまとめられています。「セール(帆)を張る」はヨットをイメージして、上述のシステム1の直感的思考法に該当します。「オール(櫂)を握る」は、ボートやカヌーのイメージで、論理的思考のシステム2に該当します。どちらが優れているということはなく、バランスよく使い分ける必要があります。現代社会では、システム1を用いることが多いと思います。システム2の思考法をもっと利用すべきだと思います。その意味では、昨日のような論理的思考の問題を訓練してみてください。