「そもそも品質工学」の番外編が21話ほどあります。「品質工学指導者のゆううつ」というタイトルがついています。社内で、品質工学を普及してきたものとしては、非常に共感することが多く、「あるある」と思いながら拝見しました。各々2分以内ぐらいの短編です。要約して表にしてみました。
資料はこちら → 品質工学指導者のゆううつ
p.1~2 以下に大事なメッセージを列挙しておきます。「←」以降は、私のコメントです。
- 品質工学は、解析手法でなく「ものづくりの考え方」である。←括弧の中が重要
- 計画の最初に制御因子が出てくるものに、ろくなものはない ←技術者は、どうしても重要なプロセス(目的、機能、評価法、誤差の設定)をすっ飛ばして実験条件を設定しようとしてしまう
- 直交表実験の量が多いと感じるのは、今しか見ていないから ←1回の直交表実験から得られる情報は非常に多い。たとえ良い結果でなかったとしても。
- 品質工学のいい本は無い。事例集がお勧め ←事例毎に考えなければならない
- 技術者のアイデアを評価する ←良い結果が得られないのは品質工学のせいではない。直交表実験で良い結果が得られなくても、重要な情報である。
- 最初は制御因子が多い方がよい。効果がないものは捨てる。少ないと改善する手がない
- 機能を評価して。システムの機能は1つ。品質は数多く、評価しきれない。 ←正しい機能を設定していれば、機能を向上する条件は、品質も向上させる。
- 計測器が無い場合は、計測器を作る。測れる、測れないが企業における技術力の違い。 ←計測器というとハードなイメージを持ちますが、測る方法と考えた方がよいと思います
- ➀市場で問題がない、②問題が起きて不良解析して改善。上司は②の人を評価しがち ← ➀を設定した人は問題が出てこないため、目立たないので評価され難い。
- 1回目で成功した。技術者の考えた制御因子を超えられないので、大きく発展・改善しない。 ← 技術者の経験以上の優れたものは生まれない。ベテランの技術者ほど、この傾向は強いはずです。
- 田口先生曰く「重さは仕事量の安定化、仕事量は電力で測れ」重さは、最終結果しか見ていない。トータルのエネルギーが同じでも、そこに到達するエネルギーの変化の過程を評価すべき。 ← 品質工学は結果に至るまでの全ての情報を用いて解析するべきです。田口先生の言葉は、含蓄があります。