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どれが正解?

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正解のない教室」(著者:矢萩邦彦 発行所:朝日新聞出版)を紹介します。先日、第1グループの新人研修が終了しました。研修生に「正解は教えないよ」と伝えてから研修を始めているので、この本のタイトルに興味を持ちました。共感を持つことが多いので、紹介します。次の資料の問題を考えてみてください。解答は直ぐに見ないでくださいね。

資料はこちら → 正解がない?

p.1 「問題1円錐を切断した場合、切断面AとBの面積は同じか?」は、いくつかの回答があります。「問題2「進化」の対義語は何?」と「問題3「平和」の対義語は何?」は同類の問題です。「問題4 砂山から1粒ずつ砂粒を取っていきます。最後に残った1粒は砂山ですか?どこまでが砂山ですか?」「問題5 何ページあれば本と言えるか?」 いかがでしょうか? 答えられますか? 考えさせる問題です。

p.2 「問題6 1時間遊びたい子供と1時間勉強させたい親がいます。どちらの意見も切り捨てないためにはどうするか?」「問題7マラソンで25位の人を抜きました。今あなたは何位?」「問題8 25階建てのビルで、エレベータで1階から5階に登るのに5秒かかります。では1階から25階まで登るには何秒?」「問題9 赤い玉が出たら当たり、白はハズレです。次のどちらが当たりやすいでしょうか? A: 赤玉1個、白玉9個、   B: 赤玉9個、白玉91個」「問題10 日本で一番溺れる場所はどこ?」

p.3 問題1の解答は複数あります。直感的には解答1の「同じ」ですね。ただ、同じだとすると円錐にならず円筒になってしまいますね。あれ? ノコギリやカッターで切断すれば、削られるので、AがBより小さくなります。この解答は現実的です。見方によって解答が違う例です。問題2見方あるいは立場によって対義語が異なる事例です。国語的には、進化の対義語は「退化」ですが、生物学的には必要がなくなって退化することもあるので、退化も進化になり得るのです。問題4は、「わからない」が解答です。砂山の定義を明確にしないと答えられない事例です。問題5の解答も、定義しないと答えられません。因みに、ユネスコで本の定義がありますので、載せておきます。

p.4 問題6は、解答1と2という現実的なものもありますが、1時間の中で子供と親の要求事項を満たしていませんので、としています。弁証法的には、「勉強になる遊びを1時間する」が回答になります。問題7は、直感的に答えると間違います。図にしてみると間違いません。問題9もちゃんと確率を計算すると、Aの方がわずかに確率が高いのです。数が多い方が当たりやすいと考えるのは、バイアスが働く所為です。問題10も、川の事故が多いだろうというバイアスが働いています。騙されないようにね。

世の中には正解がない問題の方が多いですね。見方や立場が変わると答えも変わってきます。その中から最適解を決めていくには、広い視野、知識、体験などが力になると思います。はたしてAIには可能でしょうか?

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