「知識化して伝授しないと活きない」で失敗学の話を取り上げました。事例がないと実感が湧かないと思いますので、紹介します。事例に沿って説明いたします。
資料はこちら → 失敗事例モデル
p.1 円筒状の容器にラベルを巻き付けて貼付したところ、出荷検査にてラベル剥がれが発見されました。先ず、事象として発生品の情報を記載していきます。
p.2 経過として、成形・組立~出荷までのフローのどこで発見されたか。バリデーション、テスト稼働時の状況を記載します。ラベル貼付工程の目視検査レベルでは剥がれが発生せず、出荷検査で見つかっています。バリデーション・テスト稼働は順調で問題が起きていませんでした。波及性は、当該ロットのみでした。
p.3 想定される原因を仮説としてリストアップします。①〜⑦について検証した結果を記載して、その仮説は妥当でないとして「×」を記載します。
p.4 ラベル素材の反発力と滅菌が剥がれに起因していることがわかってきました。
p.5 滅菌は悪影響を及ぼすと考えがちですが、滅菌までのリードタイムを検討した結果、リードタイムが長いと剥がれが起きやすいことがわかりました。むしろ、滅菌は反発力を減少する方向に効果を示すこともわかりました。
p.6 対策としては、強度の高い接着剤に変更しました。滅菌のリードタイムをコントロールするよりも、根本的に反発力<接着力となる接着剤の変更を選択したわけです。
p.7 総括としてまとめています。次ページの知識化と同時に大事な情報です。
p.8 今回の失敗より、次に活かすように「知識化」としてラベル設定時の留意点をまとめておきます。新規設定時のリスクアナリシスの予備知識として活用されると良いと思います。
技術報告書は、上手く行った際に書くことが多く、失敗した案件は折角良い情報があっても報告書にせず忘れ去られていってしまいます。当事者がいなくなったら、また同じ過ちを犯すかもしれないのです。「やってはいけない」という情報は非常に有力な知識なのです。これ以上はダメな領域であることを認識することの方が、チャンピョンデータをたくさんとることより重要なのです。つまりデザインスペースの境界を意識することです。