プラスチックの疲労劣化に関する話題です。
資料をご覧ください → プラスチック基礎その8
p.1 プラスチックは、静的強度よりも繰り返し荷重が破壊を引き起こすことが多いです。屈曲を片側方向に繰り返した場合、両側に屈曲する2通りありますが、その屈曲回数を横軸にとり、応力をプロットした図が左のSN曲線です。107回以上繰り返しても緩やかな変化を示す場合もあるので、107回を限界値とするようです。
p.2 素材によりSN曲線の変化が異なります。ポリカーボネートは繰返し荷重には弱いことが見てとれます。右表をご覧ください。重合度や結晶性は耐疲労性向上には有効です。
p.3 耐疲労性を向上させる手段として「アニール処理」があります。①残留応力低減と②結晶化促進がアニール処理の目的です。 結晶性あるいは非晶性プラスチックにより処理方法が異なります。 処理時間は、素材により異なりますが、30分~3時間程度になります。
繰返し荷重による疲労評価はプラスチック製品を設計する上で重要な因子になります。成形時の残留ひずみが昨日のソルベントクラックの原因にもなりますので、アニール処理により残留ひずみを除去しておくことも考慮する必要があります。 ガラスで作る「オランダの涙」は急冷によるひずみが大きいことを利用していますね。「論より証拠」をご覧ください。