今回は、溶媒あるいは薬液によるプラスチックの劣化です。
資料はこちら → プラスチック基礎その7
p.1 「SP値(溶解度パラメータ)」という言葉ご存じですか? 分子間力を表す値です。プラスチックと溶媒(薬液)のSP値を並べて描いてみました。上がプラスチック、下が溶媒のSP値です。 SP値が近い溶媒にプラスチックは溶けます。
p.2 応力を与えた状態で、溶媒と接触すると「ひずみ」が発生箇所にクラックが発生します。クラックとはヒビ割れです。 このひずみと応力を測定する方法として「1/4楕円法」があります。4×10cmの1/4楕円の形状した治具に試験片を貼り付け、溶媒と接触させた際に、発生したクラックの終点までの距離を測定して「臨界ひずみ[%]」を算出します(左図)。 右図は臨界ひずみより臨界応力を算出する方法です。一般的な臨界ひずみの区分表とポリカーボネート(PC)の各種薬液による臨界応力の数値を表にまとめてあります。
p.4 薬液の一般的な影響を表にしてあります。結晶性プラスチックは、非晶質プラスチックに比較して耐薬品性高いようです。
例えば、水道配管の用いられている塩ビ配管をTHF(テトラヒドロフラン)という溶媒で接着する場合、溶媒が多すぎるとクラックが生じることがあります。洗剤と接触してクラックが発生する事例もあるようです。設計時に、溶媒の接触リスクも考慮する必要があります。