「進化思考」(著者:太刀川英輔 発行所:海土の風)を紹介します。読みながら、資料をまとめていきます。
資料はこちら → 進化思考
p.1 この本のコンセプトです。思考について進化論を述べています。「変異」と「適応」が連動しながら、自然選択しながら進化していくモデルです。著者は、暗闇の玉入れでイメージを助けてくれます。変異は、とにかく手あたり次第、玉を投げますが、懐中電灯でカゴの位置を確認すると、入る確率が増えます。変異は、偶発的なアイデアを大量に生み出す思考です。適応は、適用状況を理解する思考を意味します。この2つの何れか一つしかないと思考は進化していかないのです。
p.2 自動車の進化を「変異」の観点で見たものを図にしてみました。荷車と馬が「融合」して馬車になります。その馬は「欠失」「交換」してエンジンに置き換わります。これが現在の自動車ですね。自動車はバス・トラック等種々の車に増殖し、スピードに特化の「変量」のレーシングカーや迷彩色の「擬態」のオフロードカーも産まれてきました。 最近ではエンジンをモーターにしたEVカーや水素燃料電池車が実用化されています。また運転行為が「欠失」した自動運転も開発中です。さらに空を飛ぶ機能を持つ「転移」した自動車も開発されています。 種々のパターンの変異を経て、自動車が進化しているのです。
p.3 上述の太刀川氏は、この進化のコンセプトをデザインの世界で応用されて種々の試みをされています。「擬態」を利用しているのは、左上の、月の球体をライトにした「The Moon」、木に似せた机である「Arborism」、卵型の石の中から香りが漂う「STON」です。「変量」を利用しているのは、ガラスを用いたモニュメントである「Amorphous」、一定間隔で床に描かれた音符を足で踏むと「ジムノペディ」を奏でる「Social Harmony」です。ソーシャルディスタンスを確保するのが狙いだそうです。
真中の動画をクリックしてみてください。 ジムノペディに聞こえますか? → https://nosigner.com/social-harmony
太刀川氏のWebsiteです。いろいろ試みられています。→ https://nosigner.com/what
一番下にある「あそ防」のアイコンをクリックすると、楽しみながら防災をデザインするページが出てきます。
p.4 創造する際に、本来あるべきものを無くすことを「欠失」と表現しています。サイレントチェロ、羽のない扇風機、ロボットアーム、掃除機ルンバなどがその代表格です。 「転移」には「モノ」「ヒト」「場所」からの転移があるとしています。モノの転移は、意図していなかった産物として電子レンジやカイロが紹介されています。レーダー開発中にポケット内のチョコレートが溶けて電子レンジのヒントになったという逸話があります。ヒトの転移は、リモートのテレビ会議であったり遠隔地のリモート手術など、本人が現場に行かなくても目的を達成することができるシステムですね。 場所の転移の例は、民間の宇宙旅行が可能になってきましたので、月旅行や火星旅行も現実味を帯びてきました。
今日は、思考を進化させるための「変異」の事例を、太刀川氏の本を参考にビジュアル化してみました。