先日、「幸せ」についての条件を引用しました。 私がボーイスカウトの隊長をしていた頃のスカウトハンドブックに創始者ロバート・ベーデン・パウエル卿のラストメッセージが書かれてあることを思い出しました。幸せの第一歩は、健康で強い身体です。それから最善を尽くす、ですね。 先人の言葉を噛みしめてお読みください。
スカウト諸君
ピーターパンの劇を見たことのある人なら知っているだろうが、海賊の首領は、自分が本当に死ぬときにはきっとその時間がないに違いないと考えて、いつも死に際の挨拶をしていた。私もそれと同じように、今すぐ死ぬわけではないにしろ、その日も近いので、ともかく君たちへの最後のメッセージを贈ろうと思うのだ。これが私から諸君への最後の言葉になるのだから、しっかりと心に受けとめ、何度でも思い出してもらいたい。
私は非常に幸せな生涯を送った。私は諸君たちにも私と同じように、幸せな人生を送ってもらいたいと願っている。神様は、幸福に暮らし、人生を楽しむようにと、この楽しい世界に私たちを誕生させてくださったのだから。
幸せは、金持ちになっても、社会的に成功しても、そしてすべてが自分の思い通りになっても、手に入るものではない。
幸福への第一歩は、少年のうちに健康で強い身体を作っておくことである。そうすれば、大人になったときに世の中の役に立つことができ、人生を楽しむことができるのだ。自然をよく観察すれば、神様が、美しいものや素晴らしいものでこの世界を満たし、諸君が人生を謳歌できるように作られたことがよくわかるだろう。
与えられたものに不満を抱くことなく、最善を尽くしなさい。物事の悪い面ばかりに目を向けるのではなく、良い面を見るようにしなさい。本当の幸せは、ほかの人々が幸せなるように力を尽くすことによって得られるものなのだ。自分が死ぬ時には、自分が生まれてきた世の中よりも、ほんの少しだけでも良い。世界になっているように努力をすれば、自分は時間を無駄にせず、最善を尽くしたのだと感じ、幸せに死を迎えることができる。
幸せな人生を送り、幸せな最期を迎えるために、「そなえよつねに」を忘れずに、大人になるまで、そして大人になっても、スカウトの「ちかいとおきて」を守るのだ。そうすれば神様は、いつも諸君をお守りくださるだろう。
君たちの友 ベーデン -パウエル・オブ・ギルウェル