昨日、不思議な模様が自然に変化していく化学現象「ベロウソフ・ジャボチンスキー反応」を取り上げましたが、本日は同じ原理が生物の中でも起きているという話です。
資料をご覧ください → チューリングパターン
p.1 チーターやキリンにある斑模様はどのようにしてできるのかを疑問に思った方はいらっしゃいますか? そういうものだと思ってしまうとそれまでです。この模様、右の「ベロウソフ・ジャボチンスキー反応」のもように類似しているように見えませんか?
斑模様ができる理由についてはこのWebsiteをご覧ください → https://www.terumozaidan.or.jp/labo/technology/15/02.html
原理は、このサイトから別の資料にリンクされています。 → 反応拡散波
p.2 上記サイトをじっくり読んでいただければ、理解できると思いますが、私なりに抜粋して説明します。化学物質の拡散方程式により、「チューリング・パターン」が描けます。 このパターンが動物の斑模様であり、ベロウソフ・ジャボチンスキー反応の模様なのです。 左の記事に「反応拡散波」という聞き慣れない語句がでてきます。 この理論では、拡散方程式をシミュレーションにより描くと、振動する波を示します。昨日の酸化還元電位が振動している現象と同じですね。uとvという2成分の反応拡散方程式が2つあります。この式は.u及びvが合成される項、分解される項及び拡散する項から成り立っています。
p.3 左側は2成分しかない場合で、この場合はどちらかの成分で安定している場合と交互に現れる場合、平面的にはランダムな場合と規則的なパターンがあります。 この2成分のうち、1成分が調節可能な成分vの場合が右図のようになります。 横線より下の部分が係数d、cを変化させてシミュレーションした結果です。最初のu成分がゼロの場合はd=0です。この場合、C=1では調節因子vの反応が遅いので、状態Ⅰ→状態Ⅱ→状態Ⅰの1回の振動が起きて終わりです。C=10にすると、uとv何れの反応が同時に進行するため、状態Ⅱに行かずに状態Ⅰに戻ってしまいます。最初にu成分がd=1だけある場合は、持続的な振動が生じます。c=10の場合は、振動にならずにさらにゼロにも戻りません。昨日の高校生の研究での高め安定のパターンでしょうか?
p.4 p.3は横軸が時間の振動でしたが、座標平面で見ても同様なパターンが見られます。3変数の場合、右上図のように座標軸方向の振動パターンになります。これがベロウソフ・ジャボチンスキー反応の静置した場合の模様ですね。攪拌した場合が、時間軸の振動と考えればよいと思います。 この座標軸のパターンが生物の斑模様をモデル化しているのです。 横方向の物質の拡散がないとランダムな模様ですが、2成分の拡散係数の比率により種々なパターンが得られます。 p.2の左に白い水玉と黒い水玉の魚より迷路のパターンができる話が載っていました。 白と黒2成分の拡散係数の違いによるのですね。
昨日取り上げた化学反応による模様と生物の斑模様がこんなところでリンクしているなんて、面白いと思いませんか? 難しい話ですが、私にとっては久々に興味が持てた話題でした。