昨日紹介した本ともう一つ「論語とソロバン」(著者:童門冬二 発行所:祥伝社)を借りてきました。 童門さんは「上杉鷹山」を読んでから好きな作家になりました。童門さんが渋沢栄一をどのように表現するか読みたくなり、借りてきました。読み終わったら、話題に取り上げるかもしれません。
本日は、上杉鷹山(ようざん)の話です。「なせば成る なさねば成らぬ 何事も 成らぬは人の なさぬなりけり」の名言はご存じの方が居られると思いますが、上杉鷹山の言葉であることはご存じないかもしれません。私が上杉鷹山を尊敬してやまないのは、改革の火を絶やさないためには人材育成が重要として藩校を設立したり、地場産業を活性化して財政を立て直したところにあります。鷹山は、婿養子で江戸屋敷にいたのですが、藩体制を立て直すために、古くからいる重臣たちがいる本国に乗り込みます。古い体制を変えるのは一筋縄ではいきません。鷹山は「火種は新しい火をおこす。その新しい火はさらに新しい火をおこす」を心の拠り所として、変革していきます。灰の中に少しでも種火があれば、それが拡がっていくことを身をもって実践された方です。種火を英訳すると「live coals」です。まさに生きている炭です。 私が会社の中で品質工学を根付かさせようと思っていた頃に、勇気をもらったのが童門さん作の「上杉鷹山」でした。品質工学なんて役に立つの?という先輩技術者達が、上杉鷹山に出てくる旧い体質の重臣たちにそっくりなのです。火種を大きくしていけばいつかは新しい時代が来るだろうと思って品質工学の定着に力を入れてきました。なかなか鷹山のようには体制を変えるまでには至っておりませんが、多少とも火種はできたのではないかと思います。消えることがないよう祈るばかりの今日この頃です。