お薦めの本 トピックス

ツッコミも上手に使えばよい結果に

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昨日紹介した[思考の教室](著者:戸田山和久 発行所:NHK出版)から、もう一つ話題提供です。「十二人の怒れる男」という1957年の映画をご覧になった方は居られますか? 私は残念ながら拝見しておりません。少年が起こした?殺人事件について、12人の陪審員が評決のため議論しています。全員一致で評決が決定します。最初は、11人が有罪、1人が無罪でした。12人の陪審員は種々の経歴・価値観を持った人々です。1名の無罪を主張する陪審員(名優ヘンリー・フォンダ)は、無罪を証明しようとしていないのです。有罪を支持する11人の意見にツッコミを入れて、否定していくのです。そして、11人の陪審員が無罪に転じていくのです。 統計の仮説検定の話とよく似ていませんか? 有罪であるという帰無仮説を棄却して、対立仮説の無実が正しいとするのです。無罪の人を間違って有罪にするよりは、有罪の人を無罪にした方が、心理的に楽だという意識が陪審員に働くようです。対立仮説(無罪である)の第2種の過誤より仮説検定(有罪である)の第1種の過誤を選択するということです。

映画の一部です → https://www.youtube.com/watch?v=Vbr1HmrplN0

もう閉幕しましたが、日本の役者が演じていました → https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/20_angrymen/

著者は無罪を主張した人の役割を「悪魔の代理人」と称しています。議論の最終段階にツッコミを入れることで、議論を尽くして正常な結論に導く役割を担っています。正常になった時に、代理人を辞める必要があります。そうしないと、ツッコミだけに終わってしまします。現代の政治に欠けているところかもしれません。 この悪魔の代理人を悪用するものが独裁者だと思います。 全てを否定して、自分がやりたいようにするからです。 最近の大国のリーダーはこの傾向が強くなってきています。 一昨日、NHKの番組を見ていたら、「群衆三部作」という映画を紹介していました。映画が主張したいことは「無自覚への警句」だそうです。自覚がないと、人数が多い集団に飲み込まれてしまうことが、現代社会の「劇場型政治」に類似点がみられることを警告した映画です。

群衆3部作の予告です → https://www.youtube.com/watch?v=uyJyDQOWBh4

ドキュメンタリー映画です。考えさせられるものがあります。

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