コンサルティングを受けたことありますか? 私は、長らく「品質工学」のコンサルティングを受け、非常に有意義であったと思っています。 コンサルティングが有益か害になるかは、コンサルティングをお願いする側のスタンスに負うことが大きいと思います。確かに、コンサルタントが有能であることは必要ですが、十分ではありません。コンサルティングを依頼する側が、教えを乞うだけではいけないと思います。 例えば、査察対策としてコンサルティングを依頼したとします。 依頼側が何も考えずに依頼すると、コンサルタントは、基準・規制に則って最善の対策案を提案してきます。依頼されたコンサルタントとしては、どこから質問されても答えられるような完璧な対策を提案しないと、自らの責任になってしまいます。 あれもこれも改善すべきと言ってくるはずです。 悪い言い方をすると、依頼する側は「コンサルタントの言いなり」になってしまいます。 例えば、「我々はこういう考えで保証できると思いますが、問題ありますか?」とコンサルタントに問えば、回答してくれるはずです。その際に、こちらの考えに全否定することなく、尊重して修正案や代替案を出してくれるのであれば、良いコンサルタントだと思います。 一方的に、規則に書いてあるので「こうしてください」というコンサルティングは誰でもできますし、余計な作業を増やす「害」となるかもしれません。信号を増やして渋滞が増加するようなことにもなりかねません。
例えば、極端な例を述べます。「製造ラインにある装置全てをリストアップして校正機器として管理しなさい」というコンサルティングを受けた場合、鵜呑みにすると、工程内にある計器全てをリストアップする作業が生じます。製造に直接関わらない時計までリストアップするかもしれません。「製造記録に数値として記載する計測装置」という条件を付けると、リストアップする作業も短縮し、校正コストも抑えることができるはずです。校正対象するか否かは、「決まり事」を手順化して承認しておけばよいのです。校正対象外にする理由が必要ですが。そのようなアドバイスをしてくれるコンサルタントの方が有益だと思いませんか?
皆さんご自身の目で的確なアドバイスをしてくれるコンサルタントかどうか見極めてください。高いコンサルティング料を支払うのですから。そして、依頼する側は「自分たちの考え」をコンサルタントにぶつけてみてください。 コンサルタントは成功事例や失敗事例を数多く見て来ている訳ですから、活用しないと損ですね。 そのためには、依頼者も勉強が必要ですよ。