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曲に隠されたもの

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今年度はオーケストラのライブを聴きに行く機会が少なかったので、残念でした。わたしの場合、外国の有名なオーケストラはチケットが高額なので、値段のお手頃なN響のコンサートに行くことが多いです。 先日、N響の第1ヴァイオリン奏者の斎藤真知亜さんが書いた「クラシック音楽を10倍楽しむ 魔境のオーケストラ入門」(発行所:KKベストセラーズ)を借りて来て読んでみました。6歳からヴァイオリンを始めて現在に至るまでのストーリーですが、プロの音楽家になるのも大変なことがよくわかります。コンサートマスター略して「コンマス」という言葉はよく聞きますが、「フォアシュピーラー」という存在知っていますか? 意味は「よいお手本」「お手本を弾く人」だそうです。 役割はコンマスをフォローする方で、コンマスの隣と後ろに2名います。斎藤さんは昨年まで長らく務めていたそうです。 この本の中で、面白い話題を幾つか紹介します。

その1: バッハを敬愛する作曲家はたくさんいます。ショパンもその一人で、ノクターン第2番の終わりの方で「シラドラシラドラ・・・」と繰り返し出て来ます。ドレミファソラシは、ドイツ音名ではCDEFGAH♭シBなので「バッハバッハ・・・」となると書いてあるのです。 ところが、実際に置き換えてみると「HACAHACA・・・」となり、どこにもBACH(♭シラドシ)は出てきませんね。 そこで以下の動画の楽譜の終わりの方を見てみたのですが、どこにもそれらしきものが見つからないのです。どうも最後に同じ4つの音形が繰り返すところらしいのですが。皆さん、わかりますか?

動画の3分後当たりからでてきます。 → https://www.youtube.com/watch?v=q650lpc3LAQ

ピアノをやっている方は当たり前なのかもしれませんが、この部分は5線の上に連続したものではないのですね。 私は最初の音を♭ミと読んだのが先ずは間違いのもとでした。 これは♭ドなのです。♯ドはよく出て来ますが、♭ドは慣れていないので、一瞬戸惑います。♭ドなのでドイツ音名では「H」です。続いて「♭シドラ」なのでドイツ音名では「BAC」です。 つまりこの4つの音のかたまりは「HBAC」これが連続するので「HBACHBACHBACH・・・」となります。やっとスッキリしました。

その2: ブラームスがシューマンの奥さんであるクララを慕っていた話は有名で、交響曲第1番第4楽章ホルンの旋律愛のメッセージが入っているそうです。この「ミレド」はクララと決めた暗号です。このアルペンホルンのような旋律を用いて「クララ 大好きだ! アルプスの山を越えてあなたを愛しています!」と言っているのではないかと斎藤さんは説明しています。

小澤征爾指揮サイトウキネンオーケストラの演奏です。31分19秒辺りから見てください。この旋律がでてきます。クララでなくても、気持ちの良い旋律です。 → https://www.youtube.com/watch?v=jyL6QmdLg90

上述のようなことを知ると、クラシックも面白くなってきます。

この本にはありませんが、作曲家が曲の中に隠している暗号についての解説があります。→ http://yoshim.cocolog-nifty.com/office/2006/07/post_edba.html

斎藤さんは、クラシックのコンサートに行く前に予習をしておくと良いとアドバイスしています。 音楽以外でもそう思います。

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