昨日は、「ラグランジュの未定乗数法」は、制約条件の下で最適値を得る便利な手法であることをお伝えしました。 皆さんには、ここで留まらず、是非、原理原則まで踏み込む習慣をつけて欲しいと思います。なぜ、この式の意味は何か?を追求して欲しいと思います。 一から考え出すのは難しいですが、世の中には、本当に参考になる情報がたくさんあります。これから説明する話は、いろいろな情報を基に、Excelで実際に計算させて、自分なりに理解できたので、資料にしました。
資料はこちら → ラグランジュの未定乗数法その2
p.1 昨日の問題は、g(x、y)=x2+y2-1=0の制約条件の下で、f(x、y)=x+yの最大値を求めるでした。左上に、イメージ図を描いています。ここまでは、昨日のブログをご覧ください。 本日は、F(λ、x、y)=f(x、y)-λ・g(x、y)という式のλ、x及びyの偏微分をゼロとすると解が得られるかの説明です。 まずExcelで描いてみます。下にある2つのグラフの左側は、xとyが等しくなる断面図です。左上の灰色の部分を含む面です。この横軸の1は、x=y=√2/2です。青い直線が黄色の(x+y)平面を横から眺めたものです。 g(x、y)は右上図のように縄文式土器の形状をしていることは昨日述べました。係数としてλが掛かっています。このλを1、√2/2、0.5、0.3及び0とした時のλ・g(x、y)の断面を曲線で表しています。(x+y)平面と同じ勾配の直線(青い破線)が接線になるのは赤の曲線のようです。このλは√2/2です。 右下図は、同じ断面でF(λ、x、y)をλを変えて描いたものです。横軸1のところで、曲線は交差し、しかも赤の曲線は山の頂点は丁度この点に一致しています。 つまり、ここが求める極値になります。 Excelでもラグランジュの未定乗数法のイメージが少しついてきましたか? 次のページに行くとさらに理解が深まります。
p.2 今回は簡単なために、平面と曲面を扱っていますが。曲面同士でも成り立ちます。2つの曲面の等高線があったとします。一つがf(x、y)、もう一つがg(x、y)の等高線です。この二つの等高線が接している赤丸の部分を拡大したのが、右図です。g(x、y)ではΔx、Δy進むとΔgだけ標高が高くなります。同様にf(x、y)は標高はΔfになるとします。Δf/Δg=λとおきます。 左中央付近からの説明をご覧ください。 ラグランジュの未定乗数法の式に入れると3つ偏微分がゼロになります。 つまり、f(x、y)とg(x、y)の勾配が同じになるようなλが存在するには偏微分がゼロになる必要がある訳です。 p.1の右下図で山頂では勾配がありませんので、偏微分はゼロですね。偏微分がゼロになるλは√2/2となります。
p.3 Excelで描いたF(λ、x、y)のグラフで、左上からλを変えて描いてあります。p.1右下の断面図と比べてみてください。λ=√2/2の時に山頂が安定した山になります。断面図の横軸1のところで縦軸の値は、λの大きさによらず不変ですね。3つの偏微分の内λで微分したものがゼロとは、λが変化してもFが変化しない状態なのです。x及びyの偏微分がゼロはこの地点が山頂であることを示しています。 したがって、この3つの条件が満たされた位置が求める極値になるのです。
制約条件を基に、山頂の位置と高さを偏微分ゼロとして決めているのです。 実際の山の山頂を特定する方法のようで面白いですね。
いかがでしたか、絵にかいたりExcelで実施に描いてみると原理的なことを理解するのも速いと思いませんか?