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つぶやくと応答する臓器

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NHKスペシャル「人体」の内容を本で解説している「人体神秘の巨大ネットワーク 臓器たちは語り合う」(著者:丸山優二 発行所:NHK出版新書)を読み始めました。NHKの番組も以前見たのですが、改めて面白く読んでいます。 この本は活字が多いので、例によって絵を用いた資料をまとめてみました。

今回は、第1章です。→ ホルモン

p.1 従前、ホルモンの分泌は左図のように脳の視床下部→脳下垂体→ホルモン分泌部位へと「指令」が主に神経を伝わっていきます。 が全て体をコントロールしていると考えられていたのですが、最近は右図の様に、心臓・胃・腸・腎臓・脂肪組織そしてこの絵では描かれておりませんが、骨の骨髄細胞からもホルモンが他の臓器に向かってメッセージとして発信されていることがわかってきました。

p.2 臓器間のネットワークは、当時国立循環器研究センター長の寒川さん等が「ANP(Atrial Natriuretic Peptides): 心房性ナトリウム利尿ペプチド」という物質を発見したことが発端のようです。このANPというペプチドは、心臓が「疲れた」というメッセージとしてANPを生成して、血液中に溶かして腎臓に送液します。腎臓の受容体がANPを検知して尿の排出量を増やします。そうすると体内の血液量が減って心臓の負担が軽くなるという仕掛けです。 脳を介せずに上手くコントロールされているのです。このANPは「hANP(ハンプ)」という心不全治療薬として製品化されています。

p.3 このANPは、「がんの転移予防」や「血管内をつるつるにして血栓付着を減ずる」効果もあるそうです。

p.4 この本の著者は面白い表現をしていました。 従前のように脳から神経を経てホルモンを分泌させるシステムは「固定電話」、臓器間の血液を介してのホルモンの伝達は「SNS」と喩えていました。 ツイッターで「疲れた」とつぶやくと関係する臓器が反応してくれるという仕掛けです。 関係しない臓器は受容体を持っていないので、無視するということです。 生体のネットワークは素晴らしいものがあります。

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