「すべての医療は不確実である」(著者:康永秀生 発行所:NHK出版新書)からの話題です。 臨床疫学の先生が執筆した本です。 臨床疫学は、医療における不確実な諸現象の確率を求め、より効果の高い医療を患者が選択できるための根拠を提示する学問です。英語で、科学的根拠に基づく医療のことをEBM(Evidence Based Medicine)と言います。 現代のように医療が進歩していない時代、「観察」能力が医者には必要でした。特定の井戸の周辺にコレラが発生していることで、これらの流行を終息させたりしていました。 現代は、医療に関するビッグデータを活用できることが医者に求められています。DPC(Diagnosis Procedure Combination)(病名と治療内容の組み合わせ)データが、その一つです。厚労省のホームページに公開されています。
厚労省のここにあります。 → DPC
このDPCデータより、切除範囲が広く難しい手術は、年間の手術件数が多い病院を選択した方が死亡率は低いようです。
画像データを人工知能(AI)が診断して医者をサポートする試みが活発化してきています。「ワトソン」というAIは、臨床データと膨大な医学論文より、治療方針の優先順位付けをしたり、ゲノム医療もサポートします。
風邪の処方の際に、「抗菌剤(抗生物質)」は、効かず逆に耐性菌を産み出すため好ましくないことを認識しておく必要があります。
最近健康番組で○○が健康に効くと強調したり、メディアが副作用を誇大に発信することがよくあるそうなので気を付けた方がよさそうです。子宮頸がんワクチンやインフルエンザのタミフルが異常行動を起こすという事例も、ネガティブ情報だけが強調されているようです。 以前紹介した「動的平衡」でも書かれていましたが、「グルコサミン」を食べたからといって関節疾患に効くわけではないことを知っておくべきです。健康食品のコマーシャルで効能を説明していますが。 某大手企業も宣伝していたりします。「○○だけ食べていればよい」ではなく、バランスよく栄養をとることが大事です。
いろいろな情報が氾濫している中で、いかに正しい情報をセレクトしていくかは難しい課題ですね。