図書館で借りてきた「世界で一番美しい化学反応図巻」(著者:セオドア・グレイ 発行所:創元社)を紹介します。借りてきた時は、グロテスクな図鑑と思っていてあまり見ずに、返却日が今日なので慌てて目を通したところ、化学系出身の私には結構ためになりました。 よくこんな危ない写真をたくさん撮影したものだと感心しました。幾つか動画が見つかりましたので、紹介しますね。
食塩は「塩化ナトリウム(NaCl)」ですね。海水を煮詰めて作れば安全なのですが、金属ナトリウム(Na)に塩素ガス(Cl2)を吹き付けて直接反応させて塩化ナトリウムを生成してポップコーンに付着させているのです。写真の上にポップコーン、下の方でNaが燃えています。 脱線します。化学系の方は経験されたことがあると思いますが、金属ナトリウムをナイフでスライスして水の上に浮かべると発火します。水と激しく反応して水酸化ナトリウムが生成して危険です。なので、金属ナトリウムは無水の有機溶媒(灯油など)中で保管します。 動画はこちら → https://www.youtube.com/watch?v=TtPUIVsIGu4
金属ナトリウムを池に投げ入れる動画です。 危険ですから真似しないように。 → https://www.youtube.com/watch?v=SpoAOzDmndk
以前、高速増殖炉もんじゅで冷却剤に用いていたナトリウムが漏れ出して問題になりました。空気中の水蒸気と反応して火災になる危険性があるからです。 この危険な金属ナトリウムにさらに有毒な塩素ガスを吹き付けるのですから、非常に危険な実験です。 とても真似したいとは思いませんね。
水素ガスを石鹸水に入れてバブリング(泡を立てる)すると、水素は軽いので泡が浮き上がります。そこに火を付けると → https://www.youtube.com/watch?v=ZmbVnWV7rmw
ヒカゲノカズラ(学名:Lycopodium clavatum)の胞子を「石松子」と呼びます。リンゴの人口受精の増量剤に使われているようです。この粉をライターの火に吹き付けると、大道芸人が口から火を噴いているようにできるそうです。 動画を見つけました。 → https://www.youtube.com/watch?v=peL1orGWPn8
「粉塵爆発」という現象がありますが、これも同じような機序によるものなのでしょうか?
液体の臭素を試験管に入れ、その中にアルミニウムを落とすと激しく反応します。この著者はこの光景は美しいと書いておられますが、臭素も塩素と同様にハロゲンなので実験は危険そうでとても美しいとは思えないですね。
動画はこちら → https://www.youtube.com/watch?v=ZpQkgM0msj4
昔は錬金術師が何とか金を作り出そうといろいろのことをしたため、現在のようにいろいろな化合物が産まれてきました。 次の動画はPb(No3)2とKIの粉を水の入ったシャーレの左右の端に入れた実験です。真中辺りに2つの化合物のイオンが拡散してきてPbI2という沈殿が生じます。この色は黄金のような色ですね。最初に実験した人は、金ができたと喜んだかもしれませんね。 この化合物も鉛を含んでいるので、見るのにはよいですが、試してみたい実験ではないですね。
動画はこちら → https://www.youtube.com/watch?v=AcxHIpg-uGI
昔、魔女は、イモリの目玉やトカゲのしっぽなどを混ぜて薬を調合している姿が物語などにでてきますが、いろいろなことを試しているうちに効くものがでてくるのでしょうね。化学の世界も全て知り尽くされたわけではないので、有効活用できるものが発見されることを期待したいと思います。