最近、フォーマルな礼服には「黒」を用いますが、明治時代以前の喪服は白だったそうです。そう言えば、時代劇ではそうでした。明治維新後、西洋の文化が入って来て黒に代わりました。西洋では、フォーマルは「黒」が多いです。諸説は、①王妃が自分の白いドレスが映えるよう仕えの者に黒を着せた、②産業革命時は石炭が重要な燃料でした。汚れが目立たないように黒い服が流行した。③永遠に変わらぬ愛を示すため、何ものにも染まらない黒を誠実の証とした。などいろいろあるそうです。 「黒」というと悪いイメージが強いですが、一昨日のブログのタイトルではないですが、黒は何でも受け入れる包容力があり、何ものにも染まらない「誠実の証」とするのが良いのではないでしょうか。
本日の話題も「色」にまつわる話です。 次の資料をご覧ください。 → ポルフィリン
p.1 植物の葉が緑色なのは、葉緑体の中にある「クロロフィル」によるものです。クロロフィルは「ポルフィリン環」（右上の図）と呼ばれる構造の中心に「Mg（マグネシウム）」が配位したものに「フィチル（Phytyl）基」という「尻尾」のようなものがついています。クロロフィルは太陽光を吸収して、光エネルギーを化学エネルギーに変換する光合成を行っています。ポルフィリン環が光に応答する部分で、フィチル基は葉緑体のタンパク質のクロロフィルを固定する根のような存在だと思います。
p.2 血液はドーナツに似た赤血球の中に「ヘモグラビン」というタンパク質と「ヘム」が含まれています。この「ヘム」は、「ポルフィリン環」（右上の図）の中心に「Fe（鉄）」が配位したものです。血液が赤い色をしているのは、この「ヘム」が含まれているからです。 ちなみに、イカの血液は「ヘモシアニン」というタンパク質の中に「Ｎ－Ｃｕ－Ｎ」のような「Ｃｕ（銅）」が含まれています。 青い色をしています。
p.3 ポルフィリン環の中心の金属がMgやFeの違いで緑になったり赤になったりするのは面白いですね。クロロフィルと血液が吸収する光の「スペクトル」を示します。スペクトルの見方は、吸収すると値が大きくなります。ピークのところが一番吸収する波長になります。 人間が認識できる「可視光」は400～800nm（１nmは１メートルの10億分の１です）の波長領域です。真中に色見本を入れておきます。 これを見ると、クロロフィルは青と赤の光を吸収していることがわかります。緑色や黄色は吸収せず反射するため、クロロフィルは緑色に見えます。 血液は、青から黄色辺りの光を吸収するので、赤色の光を反射して、赤く見えるのです。 不思議なことに、クロロフィルと血液、吸収する光の波長は逆ですね。
我々が見ている物の色は、反射してくる光の色を見ています。「白色光」とか「白色電球」という言葉がありますが、全ての光を混ぜると白になります。 白い物体は、全ての光を反射していますし、黒い物体は全ての光を吸収しているのです。 光の話は、まだまだたくさんあります。またの機会に書きます。