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学んで欲しいことは何?

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会社では、そろそろ来年度の新人研修の企画を立案し始めている頃かと思います。10年ほど前から新人研修に携わってきて、先日引退したのですが、動向が気になるところです。後継者が、より良い研修を目指して企画してくれることを期待しています。私が、先輩から引き継いでいた最初の年は、講義技能演習に分かれていて、講座ごとに講師を決めていました。研修を実施する側は、時間割を作って、講師に依頼するだけの状況でした。講座は各々独立していて、研修が終わったら忘れてしまうじゃないのかなと当時漠然と思っていました。講義は、講師の話が中心で眠くなってしまいますね。たまに研修生を指名して質問する講師がいて、多少緊張して聞いていましたが。技能演習も、興味がある研修生は少なかったのではないかと思われました。そこで、できるだけディスカッション演習を多くし、講義間の繋がりを持たせようと、当時の講師陣と相談し、現在の「ものづくりの流れ」のようにストーリー性を高めました。製品開発〜工程設計〜生産移管の「工程設計」の部分について、流れに沿って講義・ディスカッション及び演習を組み立てました。製品の部品組み立て装置を、一人一台組み立てて、部品の製造条件を設定してバリデーションを実施して生産移管可否判断を行い技術報告書を最終成果物とする流れです。この流れの中で、部品の材質設定成形方法、製造室内の物・人の動線製造環境(清浄度、温度、バイオバーデンなど)、製品単価工数算出工程保証法などを演習ディスカッションをしながら学んでいくスタイルです。品質部門でない生産技術配属の研修生は、滅菌業務でない限りは、バイオバーデンに関与することは少なくなります。私が開発技術者だった頃、製品機能は達成できたものの、滅菌を想定していなかったため、製品実現に至らなかった苦い経験があります。滅菌に耐え得る製品仕様にするには、環境や部材のバイオバーデンを知っておく必要があります。滅菌設定部署に任せておけば良いという縦割りの考え方はよしたほうが良いと思います。前置きが長くなりましたが、バイオバーデンが重要であることを講義で口頭で説明しても、伝わらないのです。たまたま微生物試験を担当している方が講師にいて、手の形をした培地があるから、それを使って自分の手の菌の状態を見ませんかというアイデアをいただきました。インパクトがあるので即採用しました。研修生は、培養後に色とりどりの菌を見て盛り上がります。この経験は、講義を聞くよりも記憶の中に留まっていることでしょう。品質工学も、とにかく研修生たちに体験してもらいたいという思いから上記の部品組み立て機を用いた実験を研修に盛り込んだ次第です。ただでさえ、品質工学は理解し難いと言われますので。あの直交表実験は面倒臭かったなという思い出が残ってくれても良いと思います。この研修では、ゴール(理想形)をイメージして「原理原則」に基づいた業務の進め方を身につけていって欲しいと思っていました。講師の皆様、「何を学んで欲しいか?」を熟考してくださいね。スケジュールはその後で、自然に決まってきます。今後も、このブログのタイトルのように、ガラクタが進化して皆さんのになっていってくれる研修になっていくことを祈っております。私の思いを書いていたら長文になってしまいました。

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