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目の前のマヨネーズにならないように

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名画読解 観察力を磨く」(著者:エイミー・E・ハーマン 発行所:早川書房)から、いくつかの絵を観察してみてください。

資料はこちら → 観察

p.1 観察して、見た事実を何でもよいのでリストアップしてください。観察力の訓練だと思って。

p.2 これも同様です。

p.3 この絵を見て、何が起きているかを想像してみてください。

p.4 上述の筆者は、右にあるような事実が見えるとしています。例えば、帽子の形状を観察すると釣鐘状つばが下に垂れていることが見てとれます。これについて検索サイトで調べると、1920年代に流行した「クローシェ帽」であることが判明します。さらに左下をご覧ください。季節時間帯及びシチュエーションを推測します。レストランのようですが、少し違うことがわかります。下3行に書いてあるように、セルフサービスのレストランであることが予想されます。実際に、この時代には「オートマット」が流行していたそうです。著者は、この絵のタイトルを伏せていますが、「オートマット」というタイトルがつけられています。 左上をご覧ください。観察結果を記述する際には、数値などを用いて定量的にすべきと言っています。

p.5 この絵の観察結果を右に列挙しました。皆さんは、手前のマホガニーのテーブル映ったものに気が付きましたでしょうか? この作品の要です。作者が高度なテクニックを用いて、婦人の肌、指、繊細なレース、ネクタリンなどが完璧に反射しています。著者は、観察の際には、「If it had been a snake, it would have bit you.(それが蛇だったら、噛まれていただろうね)」とか、冷蔵庫で目の前のマヨネーズに気が付かない冷蔵庫盲目」にならないよう警告しています。最後に、テーブルに反射している左手に指輪がないことに気が付きましたか? 作者が故意に描かなかったのかは、わからないそうです。

p.6 この絵を見て、何が起きているかを想像する前に、見た事実を列挙すると右のようになります。家族の集まり、近所の集まり、あるいは宿泊所での一場面が推測され、くつろいなごやか雰囲気を感じることができます。この絵の中で、視線の方向も興味深いところです。右後方のバグパイプのような楽器を持っている人は、こちらを見ていますし、犬はこの絵の外に視線を向けています。

いかがでしたか? シャーロックホームズのように観察することで、絵画をみることが楽しくなり観察眼を養うことができます。最近、新人研修の中で、観察力があれば、それを基に思考でき、思考できれば実行に移せるという話をしています。観察力がなければ、考えることもできず実行にも移せないのです。たまには、美術館にでも出かけてみてください。

 

 

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