先々週、「変化を嫌う人を動かす」(著者:ロレン・ノドグレン、ディヴィッド・ションタル)を紹介しました。変化を妨げる要因として、「心理的反発」がありました。車を購入する際にディーラーに足を踏み入れることためらったり、店員が待ち構えている店に入り難い経験はお持ちだと思います。喫煙者は「肺ガンのリスクが高いから禁煙して」と言われると「ヘビースモーカーでも肺ガンにならない人を知っている」とか「好きなことをして死ぬなら本望」など反論すると思います。これらは、「心理的反発」で、強制されると余計に反発を強めてしまいます。 上記の本には、有益な解決方法がいくつも提案されています。 例えば、工場幹部が製造工程にコスト削減の見込みがあると考えている場合、Aグループは、経営者から新しい作業手順を導入することを告げられ、変更手順の詳細をマネージャから説明を受けます。その後、持ち場に戻って作業に入ります。Bグループは、経営者が問題点を説明しコスト削減の解決策を考えるよう求めます。経営陣と従業員が力を合わせて最適なアイデアを選び、新しい作業手順作りに協力して取り組みました。この結果、Aグループは新しい手順への不満やマネージャとの関係悪化により作業者の士気が下がり生産量が劇的に低下しました。Bグループは、以前よりも生産性が向上しました。これは「コ・デザイン」つまり皆が参加して作り上げていくことが、受け入れ易くなるのです。「コ・デザイン」は自己説得の良いツールです。自己説得のルール3つが書かれていますので、紹介します。よく見かける光景なので、私は面白く読みました。
- 自己説得は目安箱方式では無理: 「アイデアや提案があればメールを送ってください」というやり方は失敗する。なぜか? 1つ目の理由は、最も抵抗が少ない道は、依頼を無視することだからそうです。2番目の理由は、人々に発言権を与えること(意見を言わせること)が自己説得の十分条件にならないこと。自己説得の目的は、こちらの意図した気づきに導くことです。アンケートで意見を求めても、こちらの意図する方向に誘導することはできない。「イエス」を引き出す質問が欠かせないそうです。この「イエス」が大事です。自ら肯定しているからです。
- メンバーのコミットメントを発表させる: 心理的な反発になる外からのプレッシャーではなく、内面からのプレッシャーに変える。
- 参加を実質を伴ったものにする: 上述の「コ・デザイン」なので、説明は省きます。
上述の「目安箱方式」は、私も今まで数多くやってきましたが、無視された経験がほとんどでした。「イエス」を引き出す質問が必要なのですね。即使ってみようと思います。