今日は、植物からインスピレーションを得て作る「プラントイド」です。「Plant(植物)」と「oid(~のように見える)」の合成語です。植物ロボットと言った方がわかりやすいかもしれません。
資料ご覧ください → プラントイド
p.1 昔から、タンポポやキバナムギナデシコの種子が飛ぶことを観察して、飛行物体を作ろうと科学者たちは研究してきました。 綿毛は軽いですが、右下の写真のように中が空洞になっていることが確認されています。 古くから研究されている割には、まだ実用化される応用例は少ないようです。
p.2 ここからが、プラントイドの事例です。
先ずは動画をご覧ください。→ https://www.youtube.com/watch?v=uawvCgBuqKs
根が成長していく様子がわかります。
プラントイドは、植物を模倣して動きます。葉が捻じれていますし、人工根が疑似地面に潜っていきます。
動画をご覧ください → https://www.youtube.com/watch?v=Z6l0vlY9b7c
p.3 人工根の先端は、3Dプリンターの技術を用いて、成長していきます。おもりを載せても、上に伸びていきますし、斜めに持ち上げることもできます。柔らかい地面に斜めに潜っていったり、石ころの隙間を縫って人工根が進んでいくことも可能です。右下は2㎏の石を押しのけて進む人工根です。 自然界にある植物の根が、岩を突き抜けたりするのと似ていて、動物程速くは動きませんが、突き抜ける力が強いことがわかります。この突破力は、進む方向に回転していることが手助けしているようです。
p.4 植物の根の先には、種々のセンサがあるようで、それらのデータを基に進む方向を決めているようです。 重力、湿気、接触屈性(触ると曲がる)、熱、化学物質の有無により判断しています。 植物は地面の中で、生きるために常にセンシングして根を張っていくのです。
動画はこちら → https://www.youtube.com/watch?v=6y3X63eaPQQ
p.5 植物が大きな力を発生する原動力に浸透圧があります。半透膜の片側の化学物質濃度高まると浸透圧が高まります。化学物質としては、塩化カリウム、グルコースあるいはグルタミンが役割を担っています。
浸透圧を用いたアクチュエータの動画です→ https://www.youtube.com/watch?v=iLfpeWYc7zk
p.6 植物の細胞は一種のコンデンサであり、この電圧を取り出すとLEDを点灯することができます。
動画をご覧ください → https://www.youtube.com/watch?v=DLBXIkxQlpE
植物は動かないので、動物より劣っているとか進化が遅れていると思われている方は、考え方を変えた方がよいかもしれません。 世の中にある薬品のヒントも植物の防御物質から模倣されています。以前のブログ「薬よもやま話 -植物の知恵-」をご覧ください。 今回、特に感じたのは、動物に比較すると動きは遅いですが、低エネルギーでハイパフォーマンスなのです。 人間の生き方も、植物を見習って、そんなにエネルギーをかけずにゆっくり行こうとすべきなのかもしれません。