QCストーリーの山場です。現状把握から原因分析の段階に入っていきます。
資料はこちら → QCストーリーその5
今回使用のExcelファイルです → QCストーリーワークブックその5
p.1 現状把握から原因分析の段階でもQC7つ道具が活躍します。
p.2 原因分析のため、現状把握の情報をまとめます。現品検査では、「バリ若干あり」という所見でした。 AラインとBラインの不良発生状況を見ると、Aラインはパレート図の一番多い項目がバリで、トレンドグラフを見ると、品質逸脱ロット発生時にバリ不良が多く発生していることがわかります。 これにより、品質逸脱ロットはAラインで製造されたと推測できます。
p.3 直径を計測した工程検査結果をA及びBラインについて時系列のトレンドグラフで描きます。逸脱ロットはAラインの計測値が上限規格の1.6mmに接近している位置に合致しています。このグラフにおいても、Aラインで逸脱ロットが発生しているものと推測可能です。
p.4 A及びBラインについて、工程検査結果と出荷検査結果をヒストグラムとして描き、工程能力指数Cpkを算出しました。出荷検査は通常A及びBラインをまとめて実施しているので、真中のヒストグラムですが、QC7つ道具の「層別」を適用して、A及びBライン別のヒストグラムにしました。A及びB別々にすると工程検査結果の出荷検査結果何れも、AラインのばらつきがBラインより大きいことが明らかです。工程能力指数にも反映しています。Aライン品は上限規格ぎりぎりで、いつ逸脱になってもおかしくない状況ですね。
p.5 以上の状況証拠より、品質逸脱品はAラインに発生源があると推測できますね。それでは、原因を究明・確定し、是正・予防処置のステップに入っていきましょう。
p.6 原因の可能性がある事象を並べてみます。原料の流れ性、冷却水温、エアー圧力に起因する保圧変動が原因として考えられます。
p.7 さらに深堀してみましょう。直径計測データのトレンドグラフを眺めるとA及びBライン何れも「うねり」が観測されます。季節変動がないかどうかをみるために、夏と冬に網掛けしてみました。季節に関連しそうです。夏数値が上昇、冬に下降しています。金型の冷却水の影響があるかもしれません。前ページの右下の図をご覧ください。
p.8 モウセンゴケのようなものは何でしょうか? 4月だけのグラフにしてみます。すると周期的であることがわかります。1週間毎にピーク(赤丸)があります。次は1週間のグラフにしてみます。月曜日にピークがあります。これらのことより推測できる原因は考えられますか?
p.9 今度は、金型について深堀してみます。金型は9つのキャビティ―があります。とりあえず、1週間のデータをプロットしてみますが、線でつないでみないと変化がわからないですね。管理図のUCLとLCLを計算して描いておきます。キャビによる傾向が見えてきます。キャビFは高め、キャビDは低め傾向が認められます。
p.10 各々のキャビについて工程能力指数Cp、Cpkを算出した表です。工程能力指数は、1.33以上あれば安定と言えます。キャビFの場合、Cp=1.56なので安定と思われるかもしれませんがCpk=0.76で、安定とは言い難いですね。グラフにしてみるとなぜかわかります。キャビFは上限規格近くに偏っているのです。Cpは上下限の幅を6σで割った値なので、σが小さければ上下限に近寄っていても1.33以上となり得るのです。研修生に、Cpは使わずCpkを用いてくださいと伝えているのは、偏った場合にもCpkは適用できるからなのです。
p.11 キャビ傾向がわかるグラフを描いてみましょう。前ページのグラフでも、〇で囲ってみると傾向が見えてきます。青い〇とオレンジの〇です。青は低め、オレンジは高めになっていることがわかります。平均値を等高線グラフで描いてみます。金型のイメージと等高線図を見比べるとキャビFとI辺りが数値が高いことを表しています。 この原因としては、何が考えられますか?
p.12 今までの考え得る原因を基に、是正・予防処置を考えてみましょう。