昨日の「そのウソ本当?」で紹介した本の著者は、こんな本「数学×思考=ざっくりと いかにして問題を解くか」(著者:竹内 薫 発行所:丸善出版)も書いています。この本に面白い話題があります。ある物理学の先生が学生に「小さなアリが100倍の大きさになりました。人間を襲おうとしています。さあ、どうする?」と問いかけたそうです。かなり前ですが、ウルトラマンは身長約40m・体重約3万5000トンが基本設定で、怪獣と戦うために巨大化しています。このサイズは地球の物理法則(体重の割に足が細すぎるなど)では説明できないため、「大丈夫か?」という話がありました。上述の問題とよく似ています。 皆さん、どう考えますか? 資料に解答をまとめました。
資料はこちら → 次元解析
p.1 体表面積は身長の2乗に比例し、体重は3乗に比例しますので、身長が100倍になれば、体表面積は1万倍、体重は100万倍となります。皮膚の強度が持たないため、巨大化するとアリは潰れてしまいます。よって襲われることがないというのが答えです。
p.2 今度は、やや難しい問題です。「体重20gのカブトムシが重さ200gの竿を運んでいます。体重60kgの人が同格の力を出すとしたら何kgの竿を引っ張ることができるでしょうか?」という問題です。単純に体重だけ考えて、「ヒトの体重は、カブトムシの体重の6000倍なので、重さ200g×6000=1200kgの竿を引かなければならない」とするのは間違いです。今回は引っ張る力を考える必要があります。力は、 力=重さ×加速度=重さ×長さ÷時間÷時間の式で表されます。長さは体重の3分の1乗、時間は体重の4分の1乗に比例すると言われています。長さ、時間を体重で表して、力を重さだけの式に変換すると、力は体重の6分の5乗に比例します。ヒトの体重はカブトムシの6000倍なので、カブトムシの200gの力をヒトに当てはめると、6000の6分の5乗となり、カブトムシの1400倍の力を出すとカブトムシと同格となります。重さ200g×1400=280kgの竿を引っ張って運べば良いことがわかりました。以上のように、力を比較する場合には、時間の項も考慮することが重要です。このような手法を次元解析と呼びます。次元解析を知りたい方は、「次元解析とは?」をご覧ください。