「読書する脳」(著者:毛内 拡 発行所:SB新書)を読み始めました。紙媒体の本とスマホで読む本に関する比較を論じています。表にまとめてみました。
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ある小説を紙の本とスマホで読んだ場合の理解度をスコア評価すると、紙の本の方が理解度が高い結果が得られたそうです。同様にメタ分析を実施した結果も、同様な結果が得られています。読む時間制限があるようなプレッシャーがかかる状況あるいは情報的なテキスト(説明的・論述的など)を読む場合は、紙の本の方がスマホの本よりも明らかに高い理解度を示しました。プレッシャーがなくリラックスした状況では理解度に違いは見られなかったそうです。読んでいる際の呼吸を計測すると、認知機能を回復してくれる「ため息(深い呼吸)」は紙の本が多く、リラックスできているようです。これに対して、スマホで本を読んでいる場合は、注意を集中させる前頭前野における脳血流量が紙の本よりも増加しています。前頭前野に負荷がかかった状態が続くと、脳が疲労してしまい逆に集中力が低下してしまうようです。本を読んでいる途中で、通知が入ってくるのも集中力を欠く原因になりますね。紙の本は、本のどの場所に書かれていたかを認識することができる空間的ナビゲーションが可能なので、記憶の定着にも効果があります。もちろんマーカーやメモするとさらに記憶定着を助けてくれます。一方、スマホで読む本の場合は、スキャン読み(短時間で大量の情報を概観)をすることができます。内容を熟読はできませんが、時間がない場合ざっと内容を把握するには都合が良いですね。 表の下に補足しました。脳は体重の2%ぐらいしかありませんが、使用エネルギーは全体の約20%も使っているのです。したがって、脳はできるだけ省エネしようと「ヒューリスティック」の思考の近道をするのです。そのため、認知バイアス(誤まった、短絡的な判断や表面的な情報処理)が働く傾向があります。これを続けていると思考力が低下していってしまいます。 私は趣味で電子書籍は出していますが、読書はもっぱら紙媒体の本です。上述の著者が言われる意味はよくわかります。