「エンジニア育成現場の「失敗」集めてみた。」(著者:出石聡史 発行所:翔泳社)を紹介します。畑村洋太郎先生が「失敗学」を提唱していますが、これを見習って、私の現役時代には「失敗事例」を文書化して蓄積してきました。技術者は、上手くできた成果は技術報告書に残しますが、失敗事例は闇に葬られてしまいます。この失敗事例の中には貴重なヒントが隠されているにもかかわらずです。上述の本のタイトルに「失敗」の文字があったので、直ぐ手にしてみました。「はじめに」を読み始めたら、「あるある」のオンパレードです。本文はこれから読みますが、面白そうです。リーダーを目指す方、人材育成の責務のある上司、人材開発の責任者、経営者は必見の本だと思います。「はじめに」を以下に要約してみました。
- 技術力を持たない技術者たち: 上司から安価な外注を使って利益率を上げる指示がある。社員は、自ら手を動かして設計することなく要求仕様書だけを書いて、外注先に口頭で仕様の確認を行う。仕様書書くことも外注先に任せることもある。→ 設計力などの実務をこなす技術力が低下→ 不具合に対する対処ができない。問題が発生するたびに外注先に頼むための費用が嵩む この悪循環サイクル
- 技術力がない社員が中堅になった時、新人に教育できない。→ 組織全体の技術力の低下→ 新しい製品を生み出す力がない
- 技術者育成は、企業を維持発展させるエンジンである
- 会社が管理業務を高く評価する → 若手技術者は自分の技術力を高める必要性を感じなくなる→ 入社当時目指した「できる技術者」になれない→ 優秀な技術者が転職→ 自社の技術力低下
- 失敗を経験することは良いことですが、「育成の失敗」は、取り返しがつかないことである